[小話]変化するためのミッション②

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 前回のブログで意気込みを書いてから、約一週間が経ちました!
 いやー、この一週間……充実しすぎてて、自分でも怖かったです笑

 何があったか、箇条書きで紹介させてください!

・講演会に参加した→企業のトップが出る講演会に参加して、敏腕社長?の超タメになる話が聞けた! 世界広がる!
・富士山に登った→実はブログに投稿する前から登ってました笑(無理やりすぎ?) 山頂で見る初日の出って、マジ感動した。自分がちっぽけな世界にいたことを思い知らされた!
・映画見た→話題の映画を見て、すごい感動した! やっぱ人の強い想いって、世界を動かせるんだなぁ。
・困っている人を助けた→(なんかイベント)自分の行動で、世界が優しくなればいいな。
・太陽と共に目が覚めた→朝早く起きるだけで、こんなにも清々しく世界が見えるんですね!
・人と関わる→(講演会と被ってる? でも、似たようなこと書いちまったしなぁ……)人と関われば、世界広がりますね!
・富士山に行った(ネタない)→(旅行系でネタ考える)
・成果をブログに→これですよね! めっちゃ成果ありました笑
(少し項目減らすか)

 やっぱ書くことって大事ですね!
 書くことで自分が何をやるのか見えるし、怠けそうな心に喝を入れることも出来ました。
 こうして頑張ることが出来たのは、皆さんのおかげです。最初はどうなることかと思ったけど、新年早々に良いスタートを切ることが出来たのは、こうして読んでくれる人がいるからです。

 ――なんか一言。

 もっと頑張って、良い報告を皆さんにしたいです!
 こんな自分でも出来るんだから、諦めることないよって伝えたいです。……なんて、調子乗りすぎかな笑
 ひとまず次の更新をお楽しみください!
 また会えること、楽しみにしてます!


〈――下書き保存しますか? はい いいえ〉


 デスクトップに浮かび上がるひとつの問いかけを前にして、指を動かすことに躊躇いを覚えた。

 ここで〈はい〉に合わせて左クリックを押したところで、この記事が全世界に公開されるわけではない。まだ暫定の記事なのだから、気軽に下書き保存でもすればいい。人差し指にちょっと力を籠めるだけでいいはずなのに、どうしても叶わなかった。

 下書き保存さえ出来なかった文字の羅列を、もう一度読み直す。

「……ふっ」

 思わず嘲笑が漏れた。

 ここにいるのは、誰だろう。
 この文字の中にいるのは、全くの別人だ。俺とは全く別の存在、今の俺とは掛け離れた理想とする人物像だ。
 こうなればいいなという妄想で書き上げただけで、実際の俺は何も行動していない。

 夢を抱えながらも、そのために自己研鑽をすることなく、環境状況が整えば勝手に叶えられると信じて上京した。だけど、現実のやるべきことに追われると、その日を生きるだけで精一杯になった。

 そんなありふれた大学生が、俺だ。

「それが入学してから九か月間ずっと、だもんなー」

 目の前に漂う文字の海を見ながら、ぽつりと呟く。
 俺は本当は、こんな風になりたくてわざわざ上京したんだ。

 下書きを書くまでに掛かった時間は、二時間ほど。自分にないものを無理やりに絞ったから、想像以上に時間が掛かった。目の周りや肩が、やけに痛い。そうまでして積み重ねた時間と共に、嘘偽りしかない文字の羅列を、この世から抹消した。これでネットの海の底深くに溶け込んで、決して誰かの目に触れることはなくなった。

 空白のページが見えると、虚無が襲い掛かる。

 まるで餌を求めるゾンビのように肩を落としながらベッドに近付くと、そのまま飛び込んで、俯せ状態でぼけっとした。
 何もしないでいると、さっそく後悔の念が押し寄せて来た。虚無よりも、嫌で、強い、そんな感情だ。「うぁぁああぁぁぁあ」布団の上でゴロゴロと転がることで、気を紛らわす作戦。だけど、消えやしない。余計に虚しくなるだけだ。

「はぁ」

 仰向けになると、天井が目に入った。安物のアパートを借りてるから、天井はやけに近く感じる。安いと言っても、仕送りのお金だけじゃ生活費は足りなくなって、バイトで生活費を継ぎ足すことで何とか暮らしているのだけど。

「やめだやめだ」

 際限なく浮かぶ負の感情を吹き飛ばすため、枕元に置いてあったスマホを手にして、SNSを適当に眺めることにした。

 ここにいる人達は、みんなキラキラしている。いかにも自分の人生充実してますよ、と写真で、動画で、文字で、主張していた。彼らを羨望する人達が、何かのアクションを取る。そうすると、更に多くの人の目に触れる機会が増えていく。

 俺もそうなりたかった。誰かの羨望の対象になりたくて、文字を書いてアップした。だけど、俺のブログの閲覧数は雀の涙ほど。むしろ、あんな嘘だらけの記事に時間を割いてもらって、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

「……なっさけね」

 気を紛らわせるためだったはずなのに、結局は拗らせてしまっただけだった。

 電源ボタンを軽く押して、画面をブラックアウトさせる。黒くなったのは一瞬だけで、すぐにパッと画面が光を灯した。
 中央にアプリの通知が表示されている。誰だろう。画面のロックを解除してアプリを開くと、反射的に溜め息を吐いた。

「里志、正月終わったのに、いつ帰って来るの? お父さんもお姉ちゃんも、里志が元気なのか、気にしてるわよ」

 母親からの連絡だった。

 三月末に地元を離れてから、俺は一度も帰省していない。アホのように時間があった夏休みも、正月休みもずっと東京にいた。
 その理由は、誰にも言っていない。わざわざ言いたい人もいないし、聞いてくれる人もいない。そもそも俺の勝手な我が儘みたいなものだ。

「まだ冬休みじゃないの? さすがに一年に一回は帰りなさいよ」

 文字だけでも、母親がどんな表情でスマホと向き合っているか分かる。

「お金がなくて帰れないなら、気にせず帰って来なさい。これから銀行に行って、振り込むから」

 連続した投稿に、既読を付けたくもないのに既読を付けてしまった。

 俺は手にしていたスマホを枕元にポイっと投げると、目を瞑った。

 ここまでお膳立てされたら、帰らないわけにはいかない。ここで無視したら、いざ家に帰った時の家族の反応が怖い。
 俺の実家は、新幹線を使っても半日くらい掛かるほど遠い。それでも、今から家を出れば、少し遅めの夜飯を家族と食うことは出来るだろう。実家に何泊かすることも考えたら、ここで起き上がって帰省の準備を始めなければならない。

 だけど。

「もうちょっと、このままで……」

 腕で目元を覆い隠すようにすると、深く長く息を吐いた。全体重を預けても拒むことなく受け入れてくれるベッドは、今の俺にとって、何よりも縋りたいものだった。

――③へ続く

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