心を熱くする

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どうもこんにちは、NORIです。今回は今までと少し趣向を変えまして、タイトルにある通り、心の観点から、なでしこジャパンの敗退の原因を考察していきたいなと思います。

さて、皆さんも記憶に新しい出来事ではありますが、われらのなでしこジャパンがリオ五輪の出場権を逃しました。シドニー五輪以来、16年ぶりなんだそう。様々なニュースを見る限り、「澤不在の影響が大きい」と書かれています。日本女子サッカーはドイツワールドカップで優勝してから一気に知名度が上昇し、女子サッカーのリーグ戦の観客者数の大幅増加や、テレビや雑誌の取材にも多くのなでしこが起用されるようになり、日本女子スポーツ界でも大きな注目を集めるようになりました。ピッチの中でも外でも、いつもその中心にいたのは紛れもなく澤選手でした。今回のリオ五輪の予選前に澤選手が引退し、不在を心配する声も多数あったと思いますが、その不安が的中したかたちとなってしまいました。

♦技術以上に際立つ、澤選手の「熱くさせる」力

さて、澤選手といえばもう日本には知らない人はいないんじゃないか?というぐらいに有名ですが、実際どれくらいすごい選手なのでしょうか?実績を簡単に挙げてみると・・・

①2011FIFA女子ワールドカップ優勝

②FIFA最優秀選手賞(2011)

③日本年間最優秀選手賞(2011)

④日本女子サッカーリーグベストイレブン:11回

〈Wikipediaより参照〉

などなど、実力は申し分ない選手です。さらに、彼女はアメリカの女子サッカーリーグにも参戦していた時があり、(アメリカは女子サッカーでも強豪国のひとつ)その時もアメリカのメディアからその技術を高く評価されていました。

それほどに高い実力を備えている彼女ですが、それ以上に僕が彼女のすごいところだなと思うのが、彼女の持つ、「味方を支える力」です。

特に、味方の「心」を熱くさせるのがすごくうまい。

彼女の名言として、「つらいときは私の背中を見なさい」という言葉がありますが、(今回は省力させていただきます。詳しく知りたい人は調べてくだせぇ)彼女が出ている試合をテレビで見ると、とりわけ味方を「鼓舞する、熱くさせる」姿がよく映されていました。

例えばチームが失点した時、相手に攻め込まれているとき、一人顔を上げて大きな声で、手を叩いて見方を鼓舞していました。

そんなシーンが、ニュースのハイライトには映らないけれども、90分まるまるの試合を見ると、随所にみられたのが澤選手でした。僕も小中高と学校のクラブ活動や、部活動でスポーツをやってきたんですが、この心を「熱く」することができる選手というのは、ある意味技術がうまい選手以上の価値を持っているんです。特にサッカーなどの集団スポーツにおいて、チームが苦境に立たされているなかで、中心となって声を出し、雰囲気を熱くさせることができる選手というのは、本当に貴重です。その人がコートの中にいるだけで、冬の川のように凍っているチームの雰囲気は「いける!」「まだできる!」という熱い雰囲気にがらりと変わります。そういう心が熱くなった時に、個々の選手の実力は真に発揮されます。普段以上のパフォーマンスを出すことができるのです。個人競技では、コートの外にコーチの人や、応援している人がいますが、自分の心を熱くするのは、実質「自分一人」です。でも、サッカーは11人でやるスポーツ。「自分一人」ではなく、「みんなでお互いを熱くする」ことができます。熱くなった時、もっとその人の実力は最高に輝きます。だから「ジャイアントキリング」という奇跡が起こりやすいのです。それが団体スポーツの醍醐味でもあります。2011年ワールドカップの決勝戦を見れば、よくわかります。

♦「熱く」しないことで心が変質する

さて、前段で澤選手の大きな特徴として、味方の「心を支える力、熱くさせる力」が特筆していると書きました。

今回のなでしこの予選を、「味方を鼓舞する、熱くする」という観点から見ると、ある現象が見えてきます。

それは、「盛り上げる人がいなかった」ということ。もっと深く掘り下げると、「チームメイト一人ひとりの心が熱くなりきれていなかった」ことでした。

例えば、中国戦の、川村選手からのバックパスが流れてたところを相手FWに奪われ、点を決められたシーン。失点のミスに絡んでしまった川村選手に、近寄る選手は一人もいませんでした。このシーン以外にも、全体的になでしこの雰囲気は固い状態のままで、ほぐれていない印象を受けました。テレビで見ても、チームが一つになっているとはとても言えない状態でした。澤選手がこのピッチにいたとしたら、間違いなく真っ先に大声をあげてチームメイトを鼓舞し、ミスした選手にさりげなく近寄って声を一声かけたかもしれません。そうしたちょっとした行ないがあるだけでも、その人の心のダメージは変わってくるものです。でも、そうしたことが今回のなでしこの選手にはありませんでした。一人一人の心が変質し、固まってしまっていたのです。

♦心が固まってしまった時、どうするか?

先日、摂理の主日礼拝の説教で、このような部分がありました。

『〈心〉を熱くしなければ、心が腐り、変質します。』(摂理 鄭明析牧師の御言葉)

この部分の御言葉を聞いてから、再びなでしこの戦いを振り返ってみました。

澤選手は、チームメイトを鼓舞することで、固くなった全員の心を熱くしてほぐすことができたし、自らも鼓舞することで自分の心を熱くすることができる選手でした。素晴らしい技術を持っていたことは言わずもがな、あれほどに澤選手がなでしこの中心として引っ張ることができていたのは、自分の「心」も熱くする、味方の「心」を熱くすることができる選手だったからです。

では、澤選手がいない今回の大会はどうだっでしょうか?

「心」に火をつける選手がいませんでした。ほかにこの五輪予選を見ていた人はそうなのかわかりませんが、僕はそのように感じました。見ていて、「熱く」やっていないな、なりきれていないな、と感じる場面が多々見受けられました。

人は心を自分で熱くすることができます。

『みなさんはみんな、熱く、熱心をやることができます!それなのに熱くない理由は、考えが眠っていて、心が生ぬるく、怠慢で、気を引き締めずにいるからです。お湯が冷めたら温めなおして料理するように、自分の心が冷たくなり冷えきったら、再び熱く温めなければならないのに、その状態に放っておくから変質するのです。手が冷たくなったら、しきりに手をこすって熱を出してあげ、ポケットに手を入れて暖かくしてあげるように、自分の心もそのようにしてあげなければなりません。』 (摂理 鄭明析牧師の御言葉より)

今回の五輪予選は今までと少し状況が変わっていました。

2011年のドイツワールドカップ優勝。2012年ロンドン五輪銀メダル。そして、2015年カナダワールドカップ準優勝。世間の期待は、10年前とは大きく変わり、メダルを取ることが期待されるようになりました。しかし、その期待に押しつぶされてしまったのかもしれません。なでしこの女子選手一人一人は、2011年の時のように、サッカーが好きで、楽しくて、熱くはできなかったのではないでしょうか。五輪出場というプレッシャーに押しつぶされて、「サッカーの本来の楽しさ」についての考えが眠ってしまっていたから、一人ひとりが熱くなることができなかったのではないでしょうか。

今回の五輪予選の敗退で、各メディアはこぞってなでしこを批判していますが、僕はそのように思いません。だって、これは大きなチャンスだから。もう一度、選手一人ひとりがサッカーに対する考えを見つめなおし、熱くすることができるチャンスかもしれないから。冷めてしまったなら、また熱くすればいいんです。もう一度、新しく「熱い姿」で生まれ変わったなでしこのメンバー一人ひとりが、2020年の東京五輪のピッチで躍動する姿を期待したいと思います。

 

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