新型コロナウイルスで苦しむ中国。
この混乱状態の中国で、キリスト教の信仰を守る人々がどのような状態なのか、祈りは出来る状況なのか、聖書を読むことは出来ているのか、非常に心配だ。
しかし中国のキリスト教徒は現在、最も厳しい弾圧を受けている。
冒頭の画像は2018年1月 中国山西省での中国当局による教会弾圧、爆破の様子だ。
中国政府によるキリスト教締めつけの徹底ぶりは、1966年から1977年までの文化大革命以降、最も厳しい状況
画像出典:WSJ
2018年2月に施行された新しい法律では、宗教は社会主義の価値観を実行するなどと書かれていて、共産党が宗教問題を重大な政治課題と位置づけた。
中国は宗教の自由をうたうが、その実体はどうか。条件付きだ。
中国には、「中国当局公認の教会」と「地下教会(家庭教会)」に分かれている 信者は合計1億人に激増
あくまで中国当局をトップにおく教会しか認められない。神様を当局より上には置いてはいけないのだ。牧師や神父には、説教の中で共産党をたたえること、政府幹部との会食に参加することが求められ、共産党に忠実な存在だということを示す必要がある。共産党の歌が礼拝に登場するともいう。
中国当局の監視下に入らない教会は地下教会とよばれる。当局に反発して地下協会にもぐりこむ人も多く、公認教会と地下教会をあわせて信者数は1億にのぼるともいわれる。
中央の牧師は、北京の聖愛教会を兼ねる彼の小さなアパートで毎週説教を行っている
参照:CBC
信者の多い浙江省、江西省、湖南省で教会取り壊し 聖書の焼却
十字架取り壊しの様子。左側の男性は、湖南省の教会から十字架を取り除いたことに抗議して叫んでいる。
参照:CDN
参照:RFI
参照:ASIA NEWS
参照:Back to Jerusalem
中国の中で湖南省は比較的、信者が多い地域だ。中国当局の弾圧があり、2019年1月の時点で十字架を撤去された教会は、河南省だけで数千か所に上る。
十字架を撤去させるだけでなく、そこに当局指導でかかげられたのは習主席がアピールする社会主義の価値観。愛国、平等など12のスローガンだ。
他には教会そのものをダイナマイトで爆破したという報道もある(地域不明)。
共産党は無神論で、習近平総書記が一番の権威。これ対してキリスト教は神様が一番の権威で、価値観が全く異なる。
胡錦涛政権までは、数年に1度、規模の大きな地下教会を摘発するくらいだったが、2012年からの習近平一強体制になって以降、徹底的に管理、誰にでも忠誠を誓わせ、違う価値観を許さなくなっている。
アメリカは中国に「宗教弾圧をやめるべきだ」と警告
2019年9月24日、アメリカのトランプ大統領「宗教迫害に終止符をうつべきだ」と中国を強く批判した。
2019年12月30日 中国は教会牧師に懲役9年の刑を下す
中国は非公認の秋雨聖約教会(プロテスタント)の牧師に対し、「国家権力を転覆させるために扇動」したとして懲役9年の判決を下した。教会員らは現在、行方不明だ。
中国のカトリック司教は、中国側が選んだ候補
長年、バチカンと中国は対立していた。しかし双方の歩み寄りがあり、2019年8月29日、司教は中国側が選んだ候補の中から法王が任命した。もちろん中国当局に反発しない司教だ。バチカン側も渋々の歩み寄りになってしまった。
司教が立って以降、ますます中国当局の監視が厳しくなったという。
宗教の自由を認めない世界を許さない
キリスト教とは神様を第一におく。その神様をトップにおけず、中国当局の価値観をトップにおかなければならないというのは侮辱以外の何ものでもない。もはや教会ではない。中国のキリスト教信者があまりにも哀れでならない。
カトリック、プロテスタント、様々な宗派の違いはあれど、同じ神様を信じていることには代わりは無い。十字架を持ち去り、教会をダイナマイトで破壊し、聖書を焼却する行為をどうして容認できるだろうか。
彼らが一体、何の悪事をしたというのか。
そんな中国の教会で、なんとか信仰を守ってきた人たちを神様はどのような目で見ていたのだろう。あまりにも可哀そうではないか。
現在、苦しい状況の中でどのように過ごせているのだろうか。
真の信仰の自由を許容しない世界を、私は許さない。
以下は宗教的偏りがなるべくないよう、全国紙を中心に引用、参照した記事だ。
近年の中国 キリスト教弾圧の記事
2018年9月10日 中国当局、同国最大規模のキリスト教「地下教会」を閉鎖
中国当局は、同国最大規模のプロテスタントの「地下教会」が認可なしで活動していたとして、この教会の閉鎖に踏み切った。公式には無神論の立場を取る共産党政権が宗教への締め付けを強化していることを、改めて浮き彫りにしたと言える。
牧師の話によると、9日午後の礼拝後、当局者約70人が教会に踏み込んだという。
中国のキリスト教徒は、「家庭教会」や「地下教会」と呼ばれる非公認の教会に通う信者と、政府公認の礼拝所を訪れる信者とに分かれている。北京のシオン教会は、同市最大の「家庭教会」の一つで、毎週最大1500人が礼拝に通っていたとされる。翌日の10日、現場では、少なくとも十数台の警察車両、制服姿もしくは私服姿の当局者数十人が、礼拝に使用されていた建物で配置に就いていた。
2018年10月31日 中国公安、キリスト教信者100人の海外渡航阻む 信者の多い浙江省、江西省、湖南省では相次いで、十字架の強制取り壊しや聖書の焼却、教会の解散が強要
公安当局は空港から出国しようとしたクリスチャンたちを「国家の安全を損なう恐れがある」として渡航を禁じた。空港から離れたのち、多くの信者は公安当局に拘束された。
中国国内では、共産党が公認しない宗教団体は活動を厳しく制限されている。近年クリスチャンへの弾圧は悪化しており、信者の多い浙江省、江西省、湖南省では相次いで、十字架の強制取り壊しや聖書の焼却、教会の解散が強要されている。
2018年12月13日 キリスト教信者らが多数不明に 中国の地下教会とは
ANN
中国にあるキリスト教の教会が、多数の牧師や信者らが行方不明になっていることを明らかにした。警察から暴行を受けたという写真も公開。
額にできた傷とあざ。ひざ全体に広がる擦りむいたような痕。足には穴が開いたような複数の傷が残されている。10日、中国・成都市にあるキリスト教の教会が、信者の男女3人が警察署に連れていかれ、警察から暴行されたことを明らかにした。
秋雨聖約教会:「深夜1時まで手足を縛られ、一日中、拘留されて足の多くの箇所が出血し、体にもけがをしました。24時間、飲まず食わずで休憩時間も奪われ、一日中、椅子に縛り付けられ、眠れたのは2、3時間でした」
さらに…。
秋雨聖約教会:「いまだ多くの兄弟姉妹が行方不明になっています」
この教会によると、複数の牧師らが逮捕されたほか、神学生らが自宅で監視を受けているという。
AFP通信によると、この教会は政府非公認のいわゆる「地下教会」の一つで、中国当局は統制下にない組織的な活動を警戒している。9日に行われた警察の家宅捜索の後、少なくとも80人の行方が分からなくなっている。では、その「地下教会」とはどのようなものなのか。2008年、中国の「地下教会」を取材した際の映像。
取材記者:「70人から80人がいますね。70人から80人が狭い部屋に集まってます」
中国には政府が認めて管理下に置く「公認教会」の一方、非公認の「地下教会」も数多く存在。貧しい農村の一角にある今にも崩れそうな古い建物。わずか20坪ほどの部屋には人があふれている。この教会は1980年代に開かれた。
地下教会の責任者:「きょうはまだ人が少ない。いつもは外にもたくさんいる。村の6割以上が信者だよ」
表だって宗教活動を行えないにもかかわらず、なぜ信者が集まるのか。
地下教会の牧師:「地下教会には純粋な信仰心があると思います。しかし、公認教会は政府や国家宗教局が干渉してくるのです」
かつて共産党員でもあったこの牧師の男性は、政府が信仰に干渉するのを嫌って地下教会で布教する道を選んだ。信者らが行方不明となった教会でも当局の暴力的な手段を批判し、信仰を続けていくことを表明している。
2019年1月16日 中国のキリスト教締めつけ 河南省だけで数千か所の十字架撤去 「こんなことをすれば、天罰が下る!」と叫ぶ信者
NHK
中国 習近平国家主席「わが国の宗教を中国化させる。」
1966年、毛沢東が発動した文化大革命。この時、中国では、共産主義と毛沢東を宗教のように崇拝していた。それ以外は悪として、あらゆる宗教団体が迫害された。
そして、毛沢東の死後、党の路線は改革開放へと転換し宗教を尊重する方針も正式に打ち出された。目覚ましい経済発展を遂げ、激しい競争、貧富の差などの社会問題が浮上すると…。心のよりどころを求め、キリスト教や仏教など、宗教を信仰する人が急増。中でもキリスト教は、欧米文化の流入とともに多くの人に受け入れられた。
最近では、心の豊かさを求める都市部の若者の間にも定着しつつある。そして、クリスマスでにぎわった12月。とある店にやってきた地元当局。
当局「全部没収!」
クリスマスの飾りが、根こそぎ外された。今再び、キリスト教への締めつけを強める中国政府。
中国では、政府の公認を受けた教会だけが宗教団体として認められている。公認の教会は、当局の管理下に置かれ、洗礼を受けた信者の個人情報などを報告しなければならない。また、牧師や神父には、説教の中で共産党をたたえることや、政府幹部との会食に参加することが求められ、共産党に忠実な存在だということを示さなければならない。
信仰が広まるにつれ、当局の管理を嫌う信者も出始め、非公認の教会が増えている。家庭教会とか、地下教会などとも呼ばれ、その信者の数は公認の教会に通う信者に匹敵するという見方もある。中国政府は、急速に増えているキリスト教信者への締めつけを、これまでにないほど強めている。
締めつけの徹底ぶりは、文化大革命以降、最も厳しいと言われている。
中国 習近平国家主席
「わが国の宗教を中国化させる方針を堅持し、宗教を社会主義と適応させるよう導く。」2018年2月に施行された新しい法律では、宗教は社会主義の価値観を実行するなどと書かれていて、共産党が宗教問題を重大な政治課題と位置づけたことがわかる。
十字架おろしは政府公認の教会でも 「こんなことをすれば、天罰が下る!」
信者の数が比較的多い河南省。ここは政府公認の教会だが、当局が突然、大勢の作業員を連れてきて、十字架を撤去した。同じように十字架を撤去された教会は、河南省だけで、数千か所に上る。
十字架の代わりに掲げられたのは…。習主席がアピールする社会主義の価値観。愛国、平等など12のスローガンが並んでいる。
政府公認の教会に実際に入ってみると、監視カメラがある。牧師や信者がどんな発言をするか監視している。政府批判となるような社会問題を取り上げることは許されず、共産党をたたえるよう指導も受ける。
さらに、子どもを教会に連れてくることも禁止されるようになった。親の影響で若い信者が増えるのを防ぐための措置と見られる。信者たちは、当局の締めつけは、信仰への侮辱だと感じている。
信者「十字架が撤去されるなんて、心が痛みます。こんな状況になっても信仰は揺らぎません。」
なぜここまで締めつけを?
まずは、共産党が信者の増加に危機感を感じ始めたこと。地下教会の信者や、たまにしか教会に行かない人などを合わせると、合わせて1億人近いという見方もある。共産党員はおよそ9,000万人なので、人数は超えようとしている。
しかも、共産党は無神論で、習近平総書記が一番の権威。これ対してキリスト教は神が一番の権威で、価値観が全く異なっている。共産党がキリスト教を警戒する理由について、香港の専門家は、民主主義や人権など、西側の価値観が入りやすくなるからだと見ている。
香港中文大学崇基学院神学院 ケイ福増院長
「キリスト教は民主主義や人権のような『普遍的価値』と強い関係があるため、一党独裁への脅威になると中国共産党は考えているのだろう。」胡錦涛政権までは、数年に1度、規模の大きな地下教会を摘発するくらいにとどめていたが、習近平一強体制になって、ますます何でも徹底的に管理し、誰にでも忠誠を誓わせ、違う価値観を許さないという統治に変わってきている。
しかし、文化大革命のような時代でも、キリスト教は教会が破壊されるなど表面的にはダメージを受けたが、国民は心の中で信仰を保ち続け、文化大革命の後には、反動で信者が一気に増えた。
現代の中国では、日本人が思う以上に、信仰をよりどころとする気持ちが切実で、例えば、経済格差。貧しい人たちは宗教に救いを求め、富める人もお金があってもむなしさを感じ、心の豊かさを求める人がいる。力で信仰を押さえつける非寛容なやり方は、結局のところ、統治の安定とは逆に、心の中で共産党への反感を増すだけだ。
2019年6月16日 教会を爆破する中国 苦境に陥る中国人キリスト教徒、信教の自由はケニアの地に
共産党政権下の中国を離れ、キリスト教徒が人口の8割を占めるケニアに生活に根を下ろしたこと。そして、隠すことなくキリスト教の神に身をゆだねる決断を下したことだ。
中国のキリスト教徒は現在、受難の時を迎えている。共産党政府は聖書のインターネット販売を禁じ、教会をダイナマイトで破壊し、「国家転覆を扇動」したとしてキリスト教徒を逮捕している状況だ。
「今の中国でキリスト教徒であることを公表するのは危険だ」。ブレッドオブライフ教会の高位聖職者、ジョナサン・チョウ氏(43)はそう語る。同教会は台湾に本部を置くが、所属する500人の聖職者の多くは西アフリカに派遣されている。
2019年8月6日 湖北省にて中央政府の視察を前に宗教関連施設の攻撃が急増
省と市政府は教会や寺院に対する処分を強化し、上層部に宗教弾圧の成果を示そうとしている。
昨年9月以来、中央当局は初の全国監督プログラムを実行した。中国共産党 の中央委員会主導により中国各地の 省、市 で行われている宗教政策を確認する計画である。「自己点検および是正」と呼ばれる取り組みの第一段階で、地元当局は管轄下で行われている反宗教措置を評価し、統戦部に報告するよう命じられた。10月25日に始まった第二段階では、中央政府職員のチームが全国に派遣され、「自己点検」の結果を調べ、将来の宗教政策で変更すべき問題点を特定している。以来、省や市当局は中央政府の上官を満足させるため、宗教関連施設と信者に対して組織的な迫害を行っている。
今年中に予定されている中央政府視察団の次の訪問に備え、地域当局は礼拝所の取り締まりを強化し始めた。
中国中央部の湖北省が4月に出した『宗教に関する中央の再視察の歓待計画』と題する文書によると、省委員会の事前調査に基づき、訪問を前にした準備業務を宗教関連施設の取り締まり強化から開始するとされている。過去に「網目をすり抜け」、調査を回避した礼拝所すべてを捜査し、閉鎖するよう命じられている。この業務には、キリスト教徒の私的な集会場の取り締まり、学校、大学内の宗教撲滅、外国人キリスト教徒による「潜入」、非認可の宗教関連出版物の禁止なども含まれている。
中央の視察団の待機中、同様の弾圧活動が省内各地で行われている。武漢市江岸 区 では 家庭教会 集会所2か所が4月14日に強制的に閉鎖され、当局が資産を略奪した。区内の別の家庭教会にも捜査が入り、警察が乱暴に十字架を取り外して献金箱や100冊以上の聖書、讃美歌集を没収した後に閉鎖された。
湖北省南東部の黄石市では、中央視察団を迎える前の措置の一環としていくつもの仏教寺院が封鎖され、像が撤去された。寺院の住職たちは行き場を失ったままだ。
黄石市金海開発区にある東山廟の閉鎖の際、ある政府職員は「政策が厳しくなったのだ。つぶれるのはこの寺院だけではない、開発区全域で10を超える寺院が閉鎖されている」と言った。
2019年8月17日 「習近平主席は十字架が目に入るのを嫌がる」ー武漢で教会や寺院など宗教関連施設が強制閉鎖
「習近平主席は十字架が目に入るのを嫌がる」。10月開催のスポーツイベントを前に礼拝所の取り締まりが進められる中、当局は言明した。
10月18日から27日にかけて中国中央部、湖北 省 省都の武漢市で第7回ミリタリーワールドゲームズ夏季大会が開催される。国際ミリタリースポーツ評議会が4年ごとに行う総合競技大会だ。世界中から1万人近い現役軍人が武漢市に集結し、メダルを争う。
大会に先立ち、地元政府はスポーツイベントの「治安維持」を口実に、キリスト教の家庭教会会場、仏教寺院やその他の宗教関連施設の一掃を推し進めている。
いくつもの家庭教会会場が閉鎖した。
4月下旬、武漢市の 街道 事務所の職員が警察を伴って盤石キリスト教会の集会所を強制捜査した。この詐欺師たちは令状等を一切提示せず、会衆のID情報を登録した。
「ミリタリーワールドゲームズの開催が迫っている。そこで中央の監査団は宗教の取り締まりに力を入れている。今後は集会を開いてはいけない」。街道事務所の職員は教会責任者にそう説明して会場を閉鎖した。
責任者は以前から宗教関連施設の登録証を申請していたが、地元当局はその都度却下していた。責任者は役人から言われた言葉を覚えていた。「共産党が合法だと言えば合法。共産党が違法だと言えば違法なのです」。
現状では、政府を説得するのは不可能だと会衆は言った。「話をしようとすれば、逮捕されて拘束されるでしょう。私たちはヒツジ、当局はオオカミです」と、信者は不満を漏らした。
5月下旬、政府は武漢市の別の 家庭教会、燈光教会にも集会中止を命じた。教会の牧師は教会を閉鎖しに来た職員に抗議し、中国憲法は 信教の自由 を保障しており、それは 新宗教事務条例 の上位にある法だと訴えた。牧師が「あなた方は私たちを抑圧しています」と言うと、職員はこう答えた。「中国では必ず宗教事務条例に従わなければならない。二度と憲法を持ち出してはいけない。党に従いなさい」。
十字架などの宗教的シンボルが燈光教会の集会所から撤去された。(内部筋提供)
2日以内に会場を片づけるよう命じられた。牧師は教会が集会を続けるため新たな物件を借りたいと考えたが、連絡をとった家主全員から断られた。政府が信者への貸し出しを禁じたためだ。
同じころ、武漢市青山 区 の佳恩教会も閉鎖された。そして十字架も含め、宗教的シンボルはすべて撤去された。
会場閉鎖後、青山区の佳恩教会の看板は取り外された。
閉鎖後、佳恩教会からは宗教的シンボルを含めて何もかもが撤去された。
3月から5月まで、当局は黄陂区にある家庭教会集会所に嫌がらせを繰り返した。最後には、教会の十字架が取り外された上に壊され、集会所は閉鎖された。
「国がミリタリーワールドゲームズの開催地になるので、習近平 主席がここを通るのだ。主席は十字架を見るのも嫌がる」。地元政府の職員は集会所を閉鎖する理由を説明した。また、彼は教会責任者に対し、たとえ時に誤りがあるとしても共産党に従うよう命じた。責任者が当局に反対し続ければ、集会所は解体され、彼女は罰金を科される羽目になる。
5月には、武昌区の石洞街にある家庭教会集会所2か所も閉鎖された。
仏教寺院が閉鎖 行き場を失う僧や尼僧
3月下旬、武漢市黄陂区の政府職員が福慧寺を訪れ尼僧を怒鳴りつけ始めた。「国はミリタリーワールドゲームズを開催する。寺院の門戸を一般に開いてはいけない。扉を封鎖し、菩薩像を運び出す必要がある。尼僧が寺院に住むのも許されない」。
直後、政府職員は住職に寺院を高齢者活動センターに転用することを命じ、従わなければ建物を取り壊すと言って脅した。住職は合意せざるを得ず、尼僧に寺院を出るよう話した。
4月1日、区の政府は特別警察を含む100人を超える人員を動員し、寺院が建つ山へ続く交差点を封鎖した。仏像はすべて寺院から運び出された。
「政府は救急車まで同行して用意周到でした。それに対して一般人は何も言えません。どうしようもないのです」。ある村民は言った。
同じころ、政府は黄陂区の観音寺も封鎖した。寺院の菩薩像はすべて片づけられ、寺院を育て上げた僧は追い出された。22年間暮らしてきた寺院を退去させられた住職は行き場を失い、ホームレスの状態で取り残された。
ある村民は憤慨して言った。「政府は線香を焚いたり、仏陀を拝んだりすることを禁じました。これではまるで文化大革命です。中国共産党 は宗教信仰を排除したいのでしょう」。
2019年8月29日 宗教の中国化を掲げる 司教は中国側が選んだ候補の中から、法王が任命
東京新聞
中国政府が公認するキリスト教カトリック教会の中国天主教愛国会は、内モンゴル自治区の教区で新たに司教が任命されたと明らかにした。カトリック総本山のローマ法王庁と中国政府が、昨年九月に司教の任命方式で暫定合意してから初めての任命となる。
愛国会のネットによると、任命されたのは同自治区のウランチャブ教区の司教で二十六日の任命式典には約千二百人の信徒らが出席した。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(英語版)は、式典に出席した聖職者の話として「式典では、ローマ法王フランシスコによる任命であると言及された」と伝えた。
同紙によると、陝西省でも新たな司教が任命される。中国にある九十八教区のうち約三分の一で、教区を管轄する司教が空席になっているため、今後は暫定合意に基づいた任命が続くとみられる。
中国は一九五一年にローマ法王庁と断交状態になり、中国のカトリック教会は政府公認の教会と非公認の地下教会に分裂した。昨年九月の暫定合意では、司教は中国側が選んだ候補の中から法王が任命するかたちで折り合ったとみられる。ただ、中国政府は「宗教の中国化」を掲げて宗教の管理を強めており、地下教会関係者に対する弾圧の強化が危惧されている。
2019年9月4日 十字架を引きずり下ろす中国共産党 1億人のキリスト教信者
中国でキリスト教の信者が急増している。中国政府によると、国内のキリスト教信者はカトリックとプロテスタントの合計で約4400万人。中国政府が認めていない「地下教会」で活動する信者も加えると1億人に迫るとの推計もある。
経済発展に取り残された農村や共同体意識が薄れた都市部で社会不安を吸収する形でキリスト教人口が膨れている。キリスト教の影響力拡大を恐れる中国共産党は管理を強めており、信者の苦悩は深まっている。
共産党は無神論で、習近平(シー・ジンピン)指導部による「党の指導」が最上位にある。
党に従わないと判断すれば公認の教会でも十字架を引きずり下ろしたり、党をたたえるように指導したりすることがある。党の管理を嫌って信者の家庭に集まって信仰活動を続けるのが地下教会や「家庭教会」と呼ばれる存在だ。
ある都市にある地下教会では毎週末牧師を部屋に招き、公認の教会では扱わない聖書の内容をこっそりと勉強している。信者と公言しにくい公務員や軍関係者が参加したこともある。中国政府のシンクタンクに勤める有識者は「企業経営者や会社員、高学歴の人が自由な信仰を求めて通っている」と指摘する。
2018年12月には四川省成都で警察が地下教会「秋雨聖約教会」に立ち入り、同教会の牧師や信者ら100人超が一斉に拘束されたと伝えられた。
だが共産党が管理を強めるほど信者たちは地下に潜り信仰を強める構図。中国のクリスチャンを取り巻く環境は厳しさを増している。
2019年9月22日「教会でミサができない」 中国・バチカン和解後に進む信者抑圧の実態
キリスト教カトリック総本山のローマ法王庁(バチカン)と中国当局が、司教の任命権を巡る歴史的な和解を果たして22日に1年を迎えた。カトリック界にとっては、中国当局が法王の権威を事実上認めた大きな一歩と言えるものの、習近平指導部は「宗教の中国化」を掲げて共産党による管理を徹底し、信仰への抑圧はむしろ強まっている。
「教会でミサができなくなった。信者の家に集まり、祈っている。これが和解後に起きた現実だ」。中国浙江省に暮らす、非公認の地下教会信徒が明かした。地元の神父が政府系教会組織「中国天主教愛国会」(愛国会)への加入を拒んだため、教会での活動を禁じられたという。この1年間、地下教会の聖職者が、当局から「愛国会」の傘下に入るよう「踏み絵」を迫られる事例が各地で報告されている。
中国のカトリック教会は1950年代以降、共産党の指導に従う政府系教会と、法王への忠誠を貫く地下教会に分裂した。昨年9月22日、中国とバチカンは司教の任命手続きで、互いの関与を認める暫定合意に達して和解した。
今年8月、和解後としては初めての新司教の就任儀式があった。会場で読み上げられた「愛国会」による任命批准書には「この人選は法王が同意した」と記されていたという。
中国、地下教会存在認めず
和解によって法王は、政府系司教7人に対する破門などの処分を取り消し、その地位を認めた。だが、対照的に、中国当局は地下教会の存在を容認していない。「愛国会」も以前と変わらず、バチカンから「独立」し、党の指導に従う方針を掲げている。
2018年2月、中国で改正宗教事務条例が施行され、聖職者の登録制度が厳格化された。地下教会の聖職者が、当局から登録の条件として「愛国会」の傘下に入る誓約文への署名を強いられる問題が起きている。「法王に服従する教義に反する」と署名を拒否すると、宗教活動の禁止や教会の閉鎖などの抑圧に遭う。
河北省の地下教会がある村。閉ざされた門に開いた穴から立派な教会が見え、信者のあつい信仰心がうかがえる。
中国政府の顔色うかがうバチカン
こうした混乱を受け、バチカンは今年6月28日に対応要領を発表した。中国当局に「脅迫的な圧力をかけるべきではない」と懸念を示しつつ、中国の聖職者に法令に従って登録に応じるよう促した。信仰心に反する文書に署名させられた場合、別途に口頭や書面で教義への忠誠を優先する意思を表示する対策を提示したが、中国との関係構築を重視するバチカンの姿勢が透ける内容だった。
2012年に習指導部が発足した後、カトリックだけでなくキリスト教プロテスタントやイスラム教などあらゆる信仰への締め付けが強まっている。教会関係者は「逆風の中、カトリックが司教の任命権で合意できたのは得難い成果だ。しかし、信者の境遇は今後ますます苦しくなっていくだろう」と指摘した。
「暫定合意、私でさえ内容知らされず」カトリック教会香港教区の陳日君枢機卿
カトリック教会香港教区の陳日君枢機卿(87)が毎日新聞の取材に応じ、バチカンとの和解後も中国で深刻さを増す、信仰の自由への締め付けに警鐘を鳴らした。
司教の任命権を巡る暫定合意の大きな問題は、その内容が公表されていないことだ。バチカンと中国が互いに何を認め、受け入れたのか。枢機卿である私でさえ、知らされていない。
中国当局は暫定合意を口実として、地下教会に政府系教会組織「愛国会」の傘下に入るよう迫っている。情報のない聖職者や信徒に混乱、不安が広がっている。
「愛国会」は現在も、共産党の指導に従い、(バチカンからの)「独立」を理念に掲げている。カトリックの道徳、倫理基準と相いれず、中国共産党が法王の真の権威を認めていない本心の表れと言える。
地下教会は長く迫害に苦しんできたが、当局も一定程度は信仰を黙認してきた。しかし、近年は存在そのものが許されなくなっている。司教や神父が消え、教会が奪われれば、地下教会の消滅は避けられないだろう。
現在の中国は信仰だけでなく、さまざまな自由が抑圧され、社会統制や監視が強まっている。楽観はまったくできない。信者が(中国に接近する)バチカンに失望し、法王の教えから離れ、教会が分裂しないかと深く懸念している。
中国とバチカン
中国は、ローマ法王が持つ司教の任命権を「内政干渉」と見なし、1951年にバチカンと断交。57年、共産党の指導下に政府系教会組織「中国天主教愛国会」(愛国会)を発足させ、独自に司教を任命するようになった。法王への忠誠を優先する一部信者は地下教会に集い、教会は分裂した。中国とバチカンは昨年9月、中国側が選んだ司教候補から法王が最終決定する仕組みで暫定合意。期限は2年間で、暫定合意を延長するか、本合意を結ぶかは双方が協議する。
2019年9月24日 米大統領「宗教迫害に終止符を」、中国は米を非難
トランプ米大統領は23日、国連総会に合わせて開かれた米国主催の会合で宗教迫害を終わらせるよう呼び掛けた。
会合にはウイグル族の父親が中国で監禁されている女性が出席し、中国政府を批判。国連によると、新疆ウイグル自治区ではウイグル族など100万人以上のイスラム教徒が身柄を拘束されている。国連総会に出席した中国代表団のスポークスマンは「米国は宗教の自由を口実にして、事実を軽視し、事実を歪め、他の主権国家を恣意的に批判している」と米国を非難した。
トランプ大統領は演説では新疆ウイグル自治区には触れず、父親が監禁されている女性が演説を始める前に会場を後にしたが、ペンス副大統領とポンペオ国務長官は女性の話に耳を傾けた。女性は「毎日、何百万人ものウイグル族などイスラム教徒が政府の強制収容所で虐待され、薬を投与され、洗脳されている」と主張。
ペンス副大統領は「中国共産党はキリスト教の牧師を拘束し、聖書の販売を禁止し、教会を破壊した。イスラム教徒のウイグル族100万人以上を投獄した」と批判した。サリバン国務副長官は24日、「新疆の人権危機」に関する会合を主催する。
トランプ大統領は宗教の自由を保護するため、2500万ドルを拠出すると表明。「大統領として、宗教の自由の保護は、私の最大の優先課題の1つだ」とし「米国は宗教迫害を終わらせるよう世界に呼び掛ける」と述べた。
2019年12月26日 クリスマスは国恥日?キリスト教を憎む中国の理屈
中国にはもはやクリスマスを祝う自由はなくなったのか。中国のいくつかの都市では民衆にクリスマス祝賀イベントを行わないように要求する通達が出ていることが、複数のメディアによって確認されている。
習近平政権になってから、共産党員が西洋の宗教や習慣による祝祭イベント「洋節」に参加することを禁止する通達が出されていたが、今年は、一部都市の一般市民にも拡大している。
2019年12月30日 中国、非公認教会の牧師に懲役9年 「国家権力の転覆扇動」で
中国は30日、非公認のプロテスタント教会の王怡牧師に対し、「国家権力を転覆させるために扇動」したとして懲役9年の判決を下した。
王氏は、昨年12月に行われた当局による同教会への家宅捜索で拘束された。教会員ら数十人は家宅捜索の後、行方が分からなくなっている。
公式には無神論の立場を取る中国政府は、宗教活動も含め、統制下にない組織的な活動を警戒している。中国政府は2018年、主にイスラム教とキリスト教信者を対象にして宗教に関する取り締まりを実施。秋雨聖約教会はその一環で閉鎖された。
中国国内のキリスト教徒は、同教会のような非公認の「家庭」教会、もしくは「地下」教会と、共産党の歌が礼拝に登場する政府公認の教会の間で分裂している。
2020年1月1日 キリスト教牧師の解放、アメリカが中国に要求
米国務省は31日、中国四川省の成都で拘束され懲役9年の判決を下されたキリスト教牧師、王怡(ワン・イー)氏の即時かつ無条件の解放を要求する声明を出した。
「平和的に信教の自由を主張したことによって、密室の裁判で判決が出たことを懸念する」と表明。人権や宗教問題で行動を是正するよう圧力を強める取り組みの一環で、今後の米中間の火種に発展しそうだ。
冒頭画像出典:Theepochtimes 2018年1月9日に中国山西省にて