11世紀に分裂後、1000年ぶり初対談
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王とロシア正教会のキリル総主教は12日、キューバで会談し、迫害を受けているキリスト教徒を守るよう世界の指導者たちに訴えました。会談はキューバの首都ハバナにあるホセ・マルティ国際空港で行われました。
「’We are brothers’ -われわれは兄弟だ」
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両者がハバナで会うことになったのは、キューバのカストロ国家評議会議長が会談を仲介したためです。
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ローマ法王は15年9月、キューバでカストロ議長と会談した際、キリル総主教との会談に向けて協力を呼びかけました。法王は米国とキューバの交渉を仲介し、2015年7月の国交回復を後押ししてきた経緯があります。
今までも関係修復の動きはありましたが、対談にまで持ち込めたのは分裂以来、1000年ぶりです。
ロシア正教会とは
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ロシア正教会は東方正教会の中で最大勢力を誇る中心的教会です。キエフ・ロシアが10世紀末にギリシャ正教を受け入れたのが起源で、ロシアで推定7500万人の信者を持ちます。
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1054年にキリスト教会が東西に分裂して以来、カトリック教会との融和を拒んできました。宗教を否定したソ連時代には弾圧されていましたたが、ソ連崩壊後のロシアで急速に勢力を回復。プーチン大統領が熱心な信者であることから政権との関係を深めています。
東西両教会分裂の経緯
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東西両教会は、「三位一体」を巡る教理上の解釈の違いなどから、1054年に相互を破門する事態に発展しました。カトリック教会とロシア正教会は近年、ウクライナ西部を拠点とする東方カトリック教会の扱いなどを巡っても対立してきました。
フランシスコ法王は2014年11月、キリル総主教に対して「あなたが望むどこへでも行く。あなたが呼んだら、私は行く」と伝えたと語っていました。
「世界は言葉だけでなく目に見える動きを欲している」共同宣言へ
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会談では、キリスト教徒がイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)などから迫害されている問題などについて協議しました。法王と総主教は共同宣言を発表しました。キューバのラウル・カストロ議長が立ち会いました。
署名式の際、総主教は「対話により、両教会がともに協力していけると確信できた」と語り、法王は「キリスト教の一致は、ともに歩みながら築いていくものだ」と応じました。
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共同宣言の中で「シリアやイラクにおける暴力ですでに数千人が犠牲になったほか、他にも数百万人が住まいや必要最低限の食料もままならない状態にある。われわれは暴力とテロリズムに終止符を打ち、対話を通じて平和な市民生活に早急に戻れるような努力をするよう国際社会に求めていく。世界は言葉だけでなく目に見える動きを欲しており、この会談が世界の善意ある人々にとって希望の兆しになってほしい」と述べました。
対話の威力
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今回の会談は、開かれた対話を外交の柱とするフランシスコ法王にとって大きな成果といえますが、リスクも伴うといいます。一部の人々の間では、キリル総主教とロシアのプーチン大統領が近い関係にあると指摘。法王を使って正教会教徒の間での存在感を高め、西側諸国で人気を集めるのが狙いだと危惧する人々もいます。
ただ、カトリック教徒と正教会教徒の多くは今回の会談や共同宣言について、1054年に東西教会が分裂して以来の両教会の関係再開に向けた重要な一歩だとして歓迎しています。
直接会っての対話に勝るものはありません。対話無くして進められるものは何一つとしてありません。やはり1000年ぶりの対話自体は歓迎すべきことではないでしょうか。
1000年もの間、たったの一度も対話が無かった中で、今のこの時代に歴史的な対話が成されたことに感謝を捧げます。写真を見てとても嬉しく、一つになることを神様は望んでおられると感じて涙が出てきました。
「’We are brothers’ -われわれは兄弟だ」
このように全ての人に言える私でありたいとおもいます。
冒頭写真出典:The San Diego Union-Tribune
参考:AFP時事通信、日本経済新聞、CNN、読売新聞、朝日新聞、産経新聞、毎日新聞