俺の名前はミナト。
東京の郊外、八王子に住む大学二年生だ。成績は平均点。アルバイトに勤しむ一方で、時折サッカーサークルに姿を現す、といった何処にでもいるような学生生活を送っている。
休日は大抵、ゲームに没頭して過ごす。そんな中で、「今日も変わらないいつもの日。何か面白いことが起きないかなー。」と、ぼんやりと考えながら、今日もまたNintendo Switch。
「明日は大学の授業がある。少し早めに起きないとだ。」と考えつつ、時計はすでに24時を指していた。
そろそろ布団に入る時間だ。
翌朝、目を覚ますと、目に飛び込んできたのは見覚えのない景色だった。
ここは一体どこだ?!
心の中で問いかける間もなく、突如として声が響く。
「ミナト!イエス様はもう起きてお食事を食べているぞ。お前はいつまで寝ているんだ?弟子なら、師匠より先に起きようぜ!」
そこにいたのは、髭を蓄え、中東の人々のような顔立ちをした豪快に笑う男性だった。
「・・・どこだ。ここは。あんた誰?!」
俺は驚きつつも身を起こし、その男性に視線を移す。腕の筋肉がすごいぞ。このオッサン。
「ペテロ。ミナトは起きたか?」遠くから、もう一人の声がする。
「イエス様!今、起こしました!」と、先ほどの男性が応える。
「ミナト、美味しいご飯がある。一緒に食べよう。昨日は疲れていたから、今朝は起きれなかったのか?明日は、朝から一緒に祈ろう。」
優しそうな、そしてひときわオーラを放つイケメンがそう言った。
この人は一体…。
どこかで見た。どこで見たのか、思い出せ!!
「ミナト。私の顔に何かついてるか?」と言いながら、イケメンが笑う。
分かった!!
教科書で見たことのある、イエス・キリストだ!!
しかし、待てよ。俺がイエス・キリストの弟子だというのか?
この無神論者の俺が?!
なんとも奇妙な展開に、心の中は混乱していた。
(続く)