韓国のニュースが連日、日本でトップニュース扱いになったことがどれだけ今まであっただろうか。
11月29日、朴槿恵(パク・クネ)大統領が再来年の任期より前に辞任する意向を伝えた。
混乱について改めて謝罪した上で「任期短縮を含め進退問題を国会の決定に委ねる」と述べ、任期満了を待たずに辞任する考えを表明した。
任期満了前の大統領辞任は1987年の民主化宣言後初めてとなる。
このニュースは日本のテレビ各局、速報で伝えた。
まだ進行形の事案ではあるが、現時点までのニュースをまとめた。
何が問題なのか?
出典:Tistory
起訴された人々
・朴槿恵大統領の知人女性で「陰の実力者」といわれる、崔順実(チェ・スンシル)容疑者:財団への寄付強要(共犯)など
・崔順実(チェ・スンシル)氏のめい 横領で逮捕
・朴槿恵大統領の側近、安鍾範(アン・ジョンボム)前大統領府政策調整首席秘書官:財団への寄付強要(共犯)など
・朴槿恵大統領の側近、チョン・ホソン前大統領府付属秘書官:崔順実容疑者への公文書漏洩
・崔順実(チェ・スンシル)氏に近い映像監督チャ・ウンテク被告ら2人:職権乱用や強要などの罪で起訴
・朴大統領を3人の共犯として起訴状に記載
※憲法の規定で現職大統領は起訴できない
朴槿恵(パク・クネ)大統領は大統領府の機密情報を、民間人である崔順実(チェ・スンシル)氏に流していた
韓国の民間放送局・JTBCテレビは崔順実(チェ・スンシル)氏が使用していたというタブレット端末を入手。
大統領府の内部資料が多数保存されていた。
中には
・大統領の演説の草稿
・高官の人事
・日本の安倍総理大臣の特使と会談する際の応答要領
・前のイ・ミョンバク政権と北朝鮮との秘密接触について触れられた資料
など、重要な内容も含まれていた。
また、検察による崔順実(チェ・スンシル)容疑者や千皓宣容疑者(前青瓦台行政秘書官)らへの取り調べの結果、朴大統領が大統領に就任(2013年2月25日)する直前の2013年1月から今年4月まで、朴大統領は全部で45件の大統領機密文書を崔順実(チェ・スンシル)容疑者に渡し、アドバイスを受けていたことがわかった。その中には中国の習近平主席との首脳会談やNATO事務総長や米国務長官、国連事務総長らとの会談や通話資料まで含まれていた。
機密文書を見た崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入
韓国ソウルの夜景
朴槿恵(パク・クネ)大統領が、崔順実(チェ・スンシル)氏に頻繁に資料を送り、それを崔順実(チェ・スンシル)氏が添削したり意見をつけて送り返していたという関係者の証言も出ている。
崔順実(チェ・スンシル)氏は『陰の実力者』とまで言われるようになっているのは、これが理由だ。
国政介入疑惑の事例
コリア・レポート編集長の辺真一氏は、崔順実(チェ・スンシル)氏国政介入疑惑について以下をあげている。
額賀元財務相との会談での対応
出典:FACTA
大統領就任直前の2013年1月4日、安倍晋三首相の特使、額賀福志郎氏が訪韓し、朴槿恵(パク・クネ)大統領と会談。
「竹島の日」に関連する式典を政府レベルで実施しない方向だと言われた場合には具体的な評価を避け「ほほ笑みで返す」よう対応を崔順実(チェ・スンシル)氏が指示。
従軍慰安婦問題に関しても「日本が先に言及する可能性は低い」と予想したうえで朴氏に対し
「個別の問題を議論するより、『歴史に対する日本側の正しい認識が両国関係発展の基本になる』と答えるべき」などと指示もした。
北朝鮮に対する強硬発言
今年に入って朴槿恵(パク・クネ)大統領は北朝鮮について
「自滅する」(3月15日)
「体制が大きく揺らいでいる」(8月22日)
「金正恩の精神状態は統制不能である」(9月9日)
とこれまでの大統領が誰も口にすることはなかった過激な言葉を連発したばかりか
10月1日には「北朝鮮の住民のみなさん、いつでも大韓民国の自由な懐に来ることを望みます」と、金正恩体制を見限り、脱北を促すような挑戦的な言動を繰り返していた。
この件について「共に民主党」のウ・サンホ院内代表は
「崔順実は『2年以内に北朝鮮は崩壊する』と言いまわっていた。
呪術的予言者であることが間違いない崔の予言に従って対北強硬政策を取っているのか、朴大統領は説明しなければならない」と問題にしていた。
開城工業団地閉鎖
出典:CNN
出典:ニューズウィーク日本
南北経済交流の象徴といえる開城(ケソン)工業団地の閉鎖は朴大統領が2月7日に主宰した国家安保会議では議論されてなかった。
ところが、3日後の国家安保会議で突如決定。
主管部署の統一部は「賃金と核ミサイル開発は別物」と主張。
閉鎖ではなく、一時中断とすべきと提案していたが黙殺。
第二野党のチョン・ドンヨン議員は2月8~9日の間に崔のアドバイスがあった可能性を指摘。
2014年の新年辞で朴大統領は初めて「統一大ばくち」という言葉を口にしたが、これも崔容疑者のお告げによるものと囁かれている。
拡声器放送の再開決断
北朝鮮向け心理作戦の一環である拡声器放送の再開について1月7日午前に開かれた国会国防委員会で韓民求国防長官は
「政府の総合的な対策が出た後で決定する事柄」と答えていたが、数時間後に国家安全保障会議が開かれ、大統領の決断で再開が決定。
慎重論の国防部の意見が反映されてなかったことからこれまた崔容疑者の「予言」によるものと疑われている。
高度ミサイル防衛システム(THAAD)の配備場所変更
THAADの配備場所は、当初は慶尚北道の星州郡の砲兵部隊の敷地内に決まっていた。
国防部が「これ以上ない最適の場所」と苦労の末、物色したのに朴槿恵(パク・クネ)大統領の「鶴の一声」で同じ星州郡にあるロッテが経営するゴルブ場に変更。
この変更にも崔順実(チェ・スンシル)氏が関与したのではないかとみられている。
崔順実(チェ・スンシル)氏の為に大統領府が財団設立ー寄付強要
大統領府が多数の大手企業に間接的に圧力をかけて資金を集め、崔順実(チェ・スンシル)氏のために2つの財団を設立したという疑いが持たれている。
その財団とは
・伝統文化振興の「財団法人ミル」
・スポーツ振興の「Kスポーツ財団」
この二つだ。
この二つの財団に対し計774億ウォン(約72億円)の寄付をするよう、朴槿恵(パク・クネ)容疑者と安容疑者は共謀して、ロッテなどの財閥企業に強要したなどとされる。
ロッテは70億ウォンを、サムスンは財団への出資企業の中でも最多の204億ウォンを出した。
起訴状には、朴槿恵(パク・クネ)大統領が主導的な役割を果たしたと具体的に記述された。
朴大統領が「財団法人ミル」への寄付目標を300億ウォンから500億ウォンに引き上げ、大企業のトップに個別に面会して直接寄付を要請するなどの具体的な状況を明示し、朴大統領の容疑を明確にした。
設立間もない無名財団が、何故か国家行事参加していた
「ミル財団」は昨年10月に、「Kスポーツ」は今年1月にそれぞれ設立。
通常1カ月ほどかかる設立許可もたった1日で下りるなど、異例づくしだった。
無名だった2つの財団の名が広く知られるようになったのは、朴大統領の歴訪に同行したからだった。
朴大統領が5月に行ったイラン 訪問に「Kスポーツ」が何故か同行。
また、エチオピアの交流行事にもKスポーツは参加し そこで朴槿恵(パク・クネ)大統領自らメッセージを伝えている。
出典:KOREAnet 2016年5月に行われたエチオピアでの交流行事の様子
しかしなぜ設立して間もなく、実績も残していない財団が大統領と国家行事に参加できたのか――。韓国社会には、疑問がくすぶり始めていた。
韓国の財閥とは
韓国の10大財閥の売り上げは、韓国経済の76%を占めている。
第2次世界大戦後、韓国では、サムスンなどの財閥を中心とする経済構造が出来上がってきた。
国は経済発展促進のため主要財閥を支援。財閥企業は、政府の庇護の下で輸出を中心に収益を獲得するビジネスモデルを整備。
その過程で、政府と有力財閥の癒着の構造が出来上がった。
その結果、経済活動によって生み出された富の多くが、財閥企業関係者と有力政治家との間で分配されるシステムが出来上がった。
財閥・政治家に関係のない一般庶民は、富の分配を受けることが少なかった。経済的なメリットを、国民の間で公平に分配するシステムができなかったのである。
そうした財閥を中心とする“疑似資本主義”の弊害が、多くの国民の格差を拡大させてきた。
不支持の背景に、このような格差に対する不満もあると見られる。
崔順実(チェ・スンシル)被告が推薦の2人 朴大統領「KTに連絡して採用を」
崔順実(チェ・スンシル)被告の要請を受けた朴槿恵(パク・クネ)大統領が昨年、安前首席秘書官に対し
「イ・ドンス氏(広告制作監督チャ氏の側近)という広報専門家がいるのでKTに採用されるようKT会長に連絡し、
シン・ヘソン氏(キム・ヨンス代表夫人)もイ氏と一緒に仕事ができるようになればいい」と指示。
安前首席秘書官はKT会長に連絡し2人の採用を要求し、KT会長はイ氏をブランド支援センター長(昨年2月)、
シン氏をIMC本部グループブランド支援担当(昨年12月)として採用。
しかし崔順実(チェ・スンシル)被告は2人をKT広告発注の責任を担う席に座らせてほしいと朴槿恵(パク・クネ)大統領に要請。
すると朴槿恵(パク・クネ)大統領は安前首席秘書官→会長を経てイ氏をIMC本部長に、シン氏をIMC本部常務補に発令。
さらに朴槿恵(パク・クネ)大統領は崔順実(チェ・スンシル)被告が実際に所有するプレイグラウンド社をKT広告代理店に選定するよう、KTに圧力を加えた。
捜査の結果、KTは3-8月に68億1767万ウォン(約6億5000万円)相当の広告7件を崔順実(チェ・スンシル)被告の会社に発注。
5億1600万ウォンの利益を得られるようにした。
学校で好待遇を受けていた崔順実(チェ・スンシル)氏の娘 鄭 維羅(チョン・ユラ)氏
崔順実(チェ・スンシル)氏の娘 鄭 維羅(チョン・ユラ)氏の不正入学にからみ、ソウル市内の大学などを家宅捜索した。
韓国の検察は、11月22日午前9時から、ソウル市内にある梨花(イファ)女子大のほか、前の総長の自宅など、およそ20カ所で家宅捜索し、入学関連書類やコンピューターなどを押収。
韓国の教育省は、鄭 維羅(チョン・ユラ)氏について、
・梨花女子大学への入学の際、公正を欠く方法で面接を受けていたこと
・入学後も、授業に出席せずに単位を得ていた
などの不正を公表。大学側に対し、入学を取り消すよう求めていた。
梨花女子大学とは
韓国屈指の名門大学であり、世界最大規模の女子総合大学でもある。
鄭 維羅(チョン・ユラ)氏の馬術担当者を更迭
2013年4月、鄭 維羅(チョン・ユラ)氏が馬術の試合で好成績を収めることができなかった。
これを受け、朴槿恵氏は担当者たちを「悪い人たち」と呼び、更迭を指示した。
セウォル号沈没当日に崔順実(チェ・スンシル)氏の元夫と密会?
2014年には産経新聞が、朴槿恵氏がセウォル号沈没当日に崔順実氏の元夫で自身の秘書室長を務めていたチョン・ユンフェ氏と密会していたと報じている。
セウォル号は初期対応のまずさも問題になっており、沈没事故が起きてからの7時間、朴槿恵(パク・クネ)大統領の動きが不明だと問題になっていた。
大統領府はそれを間違った報道だと否定し、朴槿恵(パク・クネ)大統領は情報を把握し指示していたとしている。
映像監督チャ・ウンテク被告起訴 政府の文化事業を優先的に受注か 圧力の疑い
11月27日、検察は崔順実(チェ・スンシル)被告に近い映像監督チャ・ウンテク被告ら2人を職権乱用や強要などの罪で起訴。
起訴内容の一部で、パク大統領が映像監督と「共謀関係にあった」という判断を示した。
チャ・ウンテク被告は、政府が発注する広報事業などを数多く受注していたことから、韓国の文化やエンターテインメントの世界では著名な存在であり、「文化界の皇太子」と言われていた。
チャ・ウンテク被告は一連の事件の舞台となっている2つの財団の設立や運営にも関わっていた。
韓国メディアによると、映像監督のチャ・ウンテク被告が、大手通信会社に対し、自らが設立した広告会社に広告を発注するよう圧力をかけた。
その際、朴槿恵(パク・クネ)大統領が側近に崔順実(チェ・スンシル)被告の支援を指示したという。
チャ・ウンテク被告は朴大統領の指示を受けた側近 安被告の「支援」を受け、知人らを同広告会社の役員に就かせた。
今年3月から8月まで68億ウォン(約6億5000万円)の広告を受注し、5億1000万ウォンの収益を上げた。
他にも様々な疑惑が報道されている。
朴槿恵(パク・クネ)大統領支持率史上最低の4% 不支持率93% デモ拡大
朴槿恵(パク・クネ)大統領の支持率が、また史上最低を記録。
朴大統領を支持すると答えた人は4%で、前週まで3週連続で記録していた5%からさらに下がった。
20代と30代は「0%」を記録。これまで安定した支持層とみなされてきた60代以上も9%だった。
不支持は93%に上がり、史上最高の不支持率だった。
(韓国ギャラップ調査結果)
拡大し続けるデモ 民主化以降で最大規模
ろうそく集会 全国で190万人が参加
パク・クネ大統領の退陣を求める5週目の「ろうそく集会」が11月26日、首都・ソウルを始め全国各地で開かれた。
ソウル中心部の光化門広場では約150万人(午後9時40分現在、主催者側の累積値発表。警察発表は瞬間最大値で約32万人)が参加し、最多記録を更新。
全国の参加者は主催者発表で約190万人。
11月12日は約100万人、19日は約95万人(ソウル約60万人、地方約35万人)が参加。
デモにろうそくを使う理由
出典:日経ビジネスon-line
1968年、アメリカでベトナム戦争に反対する反戦デモのひとつとして、マーティン・ルーサー・キング牧師等による非暴力の平和デモであるキャンドル集会が始まった。
ろうそくは、非暴力、平和デモのための道具としても使われるようになった。
韓国では2002年、幼い少女が米軍装甲車の犠牲になった「ホソン・ミソン事件」の際にキャンドル集会が起こる。
以降、政治的、社会的問題が起きるたびに市民がろうそくの火をもって広場に集まるようになった。
平和的なデモ 海外も注目
出典:Otto Radio
韓国では通常、デモが起こりやすいと言われている。
今までのデモと違うのは平和的に行おうとする姿勢だ。
一部、暴徒化しそうな人に対し、デモ隊の中でいさめる姿勢がいくつも見られる。
デモが暴徒化した場合、それこそ朴槿恵(パク・クネ)政権にとって反対派を責める格好の<餌>になる。
平和的に民主的に行おうとする韓国民の姿に、世界が注目している。
AP通信は「デモ隊がろうそくを持って朴大統領の退陣を叫びながら古宮の前の暗い夜道を光の海に変えた」と報じた。
ニューヨークタイムズは「初雪が降った寒い天気にもかかわらず大勢の人々がソウルの中心を埋めた」と報じた。
世界23カ国67都市でも ろうそく集会
韓国聯合ニュースによると、朴槿恵(パク・クネ)大統領退陣を要求する集会が26日、欧州各国でも一斉に開催。
フランス パリのエッフェル塔近くにある人権広場で、韓国人と留学生など400人余りが参加
ドイツ 首都ベルリンでは、韓国人と留学生200人余りが参加
イタリアでは、ローマの中心部にあるサンアントニオ聖堂(Basilica Di San Antonio)では時局ミサを開催し、ローマに留学中の司祭と修道女、ローマ在住韓国人など100人余りが参加。
ベルギーのブリュッセルでも100人余りの住民と留学生が集会を開催。
不支持拡大の理由
出典:Time
1カ月も次々に報道されるスキャンダルに対する憤怒や喪失感、無気力感などは、総じて“スンシル症”と呼ばれるようになった。
韓国社会への挫折感
「朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の娘だからと信じてきたのに」ー裏切られた失望感
1963年から16年にわたって大統領を務めた、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領。
韓国に高度経済成長をもたらした指導者として、多くの国民から支持されてきた。
今の高齢世代の方々は、その
と、熱烈に朴槿恵(パク・クネ)大統領を支持してきた。
あのセオゥル号事件の時でさえ、朴槿恵(パク・クネ)大統領の支持は揺らがなかったといわれる。
今回の件で
朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領とは
朴槿恵(パク・クネ)大統領の父にあたり、韓国経済に<漢江(ハンガン)の奇跡>と呼ばれる高度経済成長を起こした人物としても知られている。
在任期間中は日韓基本条約を締結。韓国では「最も功績のあった大統領」という評価もある一方、「民主主義を弾圧した独裁者」などの評価もある大統領。1979年、61歳のとき側近に暗殺される。なお、この時の側近は暗殺した理由として「崔太敏(チェ・スンシル氏の父親)への疑惑についての報告を朴正熙大統領が聞き入れなかったこと」をあげている。
既に崔太敏(チェ・スンシル氏の父親)は、朴正熙大統領及び朴槿恵(パク・クネ)大統領にも近づいていた。
参考:朴正煕大統領記念・図書館
「シャーマンに国を任せていたのか」
このような声も韓国内からあがっている。
崔順実(チェ・スンシル)氏は、新興宗教団体「大韓救国宣教会」の総裁だった崔太敏(チェ・テミン)牧師の5番目の娘だ。
崔順実(チェ・スンシル)氏自身、自らを預言者と言っている。
シャーマンとは
明確な定義は無いが、一般的に「呪術師」「霊媒師」などを指す。
邪馬台国の女王 卑弥呼(ひみこ)が占いで政治をしていたということで、卑弥呼はシャーマンだという人々もいる。
学歴社会の韓国 学生たちに大きな衝撃を与えた
韓国は学歴社会。大学受験の際は国をあげて、受験生を支援している。
遅刻しそうな受験生をパトカーで送ったり、英語のリスニング試験の時間は航空機の離着陸を制限をしている。
周囲の大きな期待を背負い、懸命に勉強し、大学に入る。
一方で特別ルートでの名門女子大入学などをしている者がいるとしたら、当の学生たちはどう思うだろうか。
韓国メディアの取材に答えたある大学生は
「大統領や政府に対する信頼、国家に対する期待が一度に崩壊した」と嘆く。
自分と祖国の未来に希望を持てないどろが、幻滅し絶望すらしている。
大学卒業後2年間、行政高等試験を準備してきたチョさん(26)は最近勉強をやめた。
朴槿恵(パク・クネ)大統領がこれまで推進してきた政策の中で、いくつかが国民のために行われたものでないことに気付いたからだ。
チョさんは「何の資格もない秘線実勢(陰の実力者)の一言に国家の政策が一進一退したという事実を知ってう怒りがぶり返した。
公務員になったところで何ができるかという虚しい気がして行政高等試験の勉強をやめた」と話した。
ソウル冠岳区(クァナクグ)のある中学校1年生のイ君(13)のクラスでは、異常な行動をする友達に「お前、朴槿恵大統領か」と話すのが流行っている。イ君は「友達とゲームの話をするより崔順実の話をもっとするようになった」とし、「教科書で習った大統領の姿と現実があまりにも違って失望が大きい」と話した。
朴槿恵(パク・クネ)大統領と崔順実(チェ・スンシル)氏の関係が明らかになった経緯
朴大統領と「友人の女性(崔順実(チェ・スンシル)氏)」をめぐる疑惑に火がついたのは、7月末にテレビ局「テレビ朝鮮」(韓国の大手紙)が「青瓦台首席、文化財団ミルに500億(ウォンの)募金支援」と、財団法人ミルに関する不自然なカネの流れについて報道したことがきっかけだった。
その後、崔順実(チェ・スンシル)氏が使用していたタブレットパソコンがJTBCという放送局に「流出」したことが発端となり、不正や疑惑が明らかになった。
「崔順実(チェ・スンシル)氏はあちこちに事務所を持っていましたが、ほとんどは崔氏側が急いで引っ越ししてしまい何も残っていない状態だった。
ところが、その中の一カ所に崔氏側がビルの管理人に処分してくれと置いていった荷物があった。
了解を得て、その荷物を入手して中身を確かめたところ、崔順実(チェ・スンシル)氏のタブレットパソコンを発見した」
引用:JTBCニュースルーム、10月24日
そのタブレットパソコンのファイルを分析した結果、朴大統領から崔氏に国家機密が伝達されていたことが判明。
これが突破口となって、崔氏やその近親者・関係者の悪事が芋づる式に暴かれることとなった。
青瓦台とは
出典:ソウルナビ
韓国政治の中心である大統領府。大統領の仕事場であり生活場所。
この通称が「青瓦台(チョンワデ)」。日本では、せいがだいとも呼ばれる。
コバルトブルーの瓦屋根で作られている。
しばしば、アメリカのホワイトハウスと同一に扱われる。
北朝鮮は以前、「明白なのは、われわれの強力な核抑止力の前に、青瓦台(韓国大統領府)やホワイトハウスが地図上で二度と見つけられないようになることだ」と米本土への核攻撃を警告したことがある。
参考URL:「青瓦台は日帝時代の総督官邸場所に建てたコンクリート韓屋」
過去にも不正が明らかになりそうではあったが、当時のマスコミは追及せず。その理由とは
2008年に報道された<朴槿恵Xファイル>
崔順実(チェ・スンシル)氏をめぐる疑惑は韓国のマスコミ関係者の間ですでに広く知れわたっていた。
事実、日本の大手新聞社の元ソウル特派員を務めた方からも「何を今更といった感がある」と話したという。
実は今から9年前の2007年、崔順実(チェ・スンシル)氏の不正を記した文書が公開されたことがあった。
当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(2003年~08年)は、情報機関である国家情報院を通じて朴槿恵(パク・クネ)氏の身辺調査を行っていた。
この背景には、当時の緊迫した政治状況がある。
何故、2004年に朴槿恵(パク・クネ)大統領の身辺調査が行われたのか
2004年3月、盧武鉉大統領に対する大統領弾劾訴追案が国会で可決された。
(*大統領弾劾訴追→事実上の職務停止に追い込むこと)
しかし、弾劾訴追案を通過させるのに中心的な役割を果たした野党・ハンナラ党は国民からの強い反発を受け、党代表が辞任。
後任の代表に朴槿恵(パク・クネ)氏が選出された。
2004年4月の総選挙では朴槿恵(パク・クネ)代表のもとでハンナラ党は善戦し、党勢を回復させることができた。
これに脅威を感じた与党・ヨルリンウリ党は2004年7月から数ヵ月をかけて朴槿恵(パク・クネ)氏の身辺調査を行ったのである。
調査結果を『新東亜』が2008年に公表
この調査の結果が明るみに出るのは、ハンナラ党の大領領候補公認をめぐって朴槿恵(パク・クネ)氏と李明博(イ・ミョンバク)氏が競い始めてからである。
(*李明博(イ・ミョンバク)氏→朴槿恵(パク・クネ)大統領の前の韓国大統領。任期2008年-2013年)
2007年6月、李明博(イ・ミョンバク)陣営は国家情報院から流出したとされる朴槿恵(パク・クネ)氏に対する身辺調査の結果(「朴槿恵Xファイル」と呼ばれる)を入手し、これを公開。
その内容の一端が韓国の大手日刊紙・東亜日報が発行する月刊誌『新東亜』(2008年5月号)に公表されている。
『新東亜』の記事によると、「朴槿恵Xファイル」文書は1980年代から2000年代にわたる20年間に崔太敏牧師とその娘・娘婿が行った不動産取引と不動産所有に関するものだったという。
マスコミが不正を追及しなかった理由
『新東亜』も崔父娘に対する疑惑についてそれ以上突っ込んだ取材をしていない。
『新東亜』の記事は、国家の情報機関が特定の政治家を調査していたこと、その調査結果が不自然な形で流出したことのみを問題としている。
しかし、この時点で真相が徹底して暴かれていれば、崔父娘や娘婿が政権に食い込むこともできなかったかもしれない。
ではなぜ、『新東亜』(東亜日報)をはじめとする韓国のマスコミは崔父娘の不正を知りながら、これを追求しなかったのか。
韓国のマスコミは崔父娘が朴槿恵(パク・クネ)政権にとって非常に重要だということを分かっていたからである。
大統領に強権が与えられている韓国では、大手マスコミといえども逆らうことができないと言われている。
今回、それが一気に明るみにでたのは、朴槿恵(パク・クネ)政権が限界に達し支持率が急落することによって、マスコミに対する統制力が著しく弱まったからだ。かつて、このように報道される現象は政権が交代した後、退任した前職大統領に対して起こるものであった。現職大統領に対しては、ごくまれなことである。
韓国メディアの不自由さ
韓国メディアは原則、大統領の日程を独自取材でつかんでも報じてはいけない。日本では連日、首相動静として各メディアが報じている。青瓦台(チョンワデ)(大統領府)担当の記者たちが作業する建物は、大統領が執務する棟とかなり離れており、詳しい動静はわからない。
ただし、国際NGO「国境なき記者団」(本部 パリ)による報道の自由度ランキング2016では韓国は70位、日本は72位。世界から見て日本が超自由というわけではないが、違いがあることは確実なようだ。
参考:The Huffington Post 日本の報道の自由度ランク
日本とは違う韓国大統領の権限
出典:中央日報
隣国とはいえ、日本の首相の権限とは同一ではない。同じ物差しで考えてはいけないようだ。
多くの権限をもつ大統領
韓国の大統領は現代の王と言われるほど、他国の大統領に比べて絶対的な権限をもっている。
根強い儒教文化や朝鮮王朝時代の感覚も残り、国王と政治指導者の中間ぐらいに位置する絶対権力だ。
法案の拒否権、軍の統帥権、大法院長(最高裁判所長官)や検察総長などの任命権のほかに政府、軍、官公庁などの人事(約7千人)まで握っている。
また、憲法改正の提案権から宣戦布告、戒厳令の布告もできるし、在任中に罪を犯しても、免責される。大統領が任期中にしたことを司法が問うことはできない。退任を待つほかない。裏を返せば、独裁的な権力故に任期5年、再選なしという制度で最高権力者を縛っているともいえる。
このように韓国の大統領は、在任中は絶対的な権力を持つが、大統領の任期が終われば、厳しく裁かれる。結果として韓国の歴代大統領は亡命、暗殺、死刑宣告、自殺、無期懲役などに残念ながら至っている。
だが最高権力者自身には難しくとも、家族や側近などに便宜を図ってもらおうとする人々が群がり、巨額の金銭が行き交う。
これまで金泳三(キムヨンサム)氏、金大中(キムデジュン)氏、盧武鉉(ノムヒョン)氏、李明博(イミョンバク)氏の歴代大統領周辺の多くが、
直接的な権限がないのに口利きなどで対価を得る、韓国独特の「あっせん収財」容疑で逮捕されてきた。
あっせん収財とは
公務員の職務に属する事項の斡旋に関して金品又は利益を収受、要求又は約束すること
朴槿恵(パク・クネ)大統領の人物像
出典:businesskorea
今回の事件には、韓国大統領をめぐる構造的な問題に加え、朴氏の強い人間不信も大きく影響していると言われる。相次ぐ政治的な裏切りを経験してきた朴槿恵(パク・クネ)氏は、父である朴正熙(パクチョンヒ)元大統領を慕う支持層を背景に、大統領への道を歩んできた。
秘書官らの直接説明よりも、文書での報告を好んだ。どっさり積まれた報告書に目を通しつつ、大統領公邸で1人で夕食を取るといわれている。
朴槿恵(パク・クネ)大統領と崔順実(チェ・スンシル)氏の関係
出典:국민뉴스
崔順実(チェ・スンシル)氏がここまで朴槿恵(パク・クネ)大統領に食い込むことができたのは、崔順実(チェ・スンシル)氏の父・崔太敏氏(1912~1994)が、朴槿恵(パク・クネ)大統領の父・朴正熙(パク・チョンヒ)前大統領の時代から大統領府に出入りする権勢家だったためである。
1912年生まれの崔太敏氏 (崔順実(チェ・スンシル)氏の父親)
日本植民地時代に警察業務を遂行したというは、解放後、僧侶になった。
1970年代初め 「永生教」を創始
崔太敏氏は70年代初めに仏教・キリスト教・天道教を総合しながら「永生教」を創始して教主に。
1974年朴槿恵(パク・クネ)大統領の母 暗殺
朴槿恵(パク・クネ)大統領の母 陸 英修(ユク・ヨンス)氏が北朝鮮の工作員に暗殺された。
その際、崔太敏牧師が慰めの手紙を送った。
崔太敏氏は朴槿恵(パク・クネ)氏に「自分は陸 英修(ユク・ヨンス)氏の夢を見た」「私の霊的能力を通じて陸女史に会うことができる」などと語った。
朴槿恵(パク・クネ)氏はその後、母に代わってファーストレディーを代行する。
1975年 崔太敏牧師が大韓救国宣教団設立
永生教の看板を下ろした崔太敏牧師は、1975年に「大韓救国宣教団」という団体を創設して総裁に就任。名誉総裁に朴槿恵(パク・クネ)氏を迎えている。
1970年代後半
朴槿恵(パク・クネ)氏の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)は、中央情報部長だった金載圭氏の報告を受け、金氏に調査を命じた。
だが最終的には朴槿恵氏の支持と証拠不足により、崔太敏氏が司法制裁を受けることはなかった。
朴槿恵氏の介入により金載圭氏は朴正煕大統領の信頼を失った。
1979年 朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領 暗殺
晩餐会で、叱責された金氏は朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領を暗殺。
兄弟たちも問題児で朴槿恵(パク・クネ)氏が孤立を深めているところを、崔順実(チェ・スンシル)氏が近くで支えた。
両親を失った朴槿恵氏と弟妹は、青瓦台(大統領府)を離れた。朴正煕氏に対する誹謗流言が勢いを増す中、朴槿恵氏は悲しみの中で父親の名誉回復のための事業を開始。
朴槿恵(パク・クネ)氏はエレベーターの中で父親の部下にあいさつしたが、終始無視されるということもあったという。
「口と心が裏表で、自身の利益のために裏切りを選ぶ人を数多く見てきた」
「父親への裏切りは止むことなく、何もせずただ傍観することはもはやできなかった」と朴槿恵氏は語っている。
そうした時期に、崔太敏氏は最も孤独な朴槿恵氏を支え、苦難における啓発と世話を通じて、朴氏の「指導者」となっていった。
1979年に「大韓救国宣教団」を「セマウム奉仕団」に改称 勢力拡大
大学や企業の内部で勢力を拡大させた。崔順実(チェ・スンシル)氏はこの「セマウム奉仕団」の幹部として朴槿恵(パク・クネ)氏に接近し、父親とともに親交を深めることになる。
1979年 崔父娘は朴槿恵(パク・クネ)大統領の母が設立した「育英財団」の幹部に
1979年10月の朴正熙大統領暗殺後、崔父娘は故・陸英修女史が設立した児童福祉財団・「育英財団」の幹部も務めた。
「妹は崔太敏に騙されている」ー朴槿恵パク・クネ氏の姉が主張
この育英財団の運営をめぐり、朴槿恵(パク・クネ)氏の妹・朴槿令(パク・クンリョン)氏と、崔父娘が対立。
と主張。
崔太敏氏の処罰を求めて、盧泰愚大統領(当時)に
「詐欺師の崔太敏を厳罰し、崔太敏に包囲された姉の朴槿恵を元国家元首遺族保護レベルで救出してほしい」と嘆願書を出すという事件が起こっている。
この関連で朴槿恵氏は「育英財団」の理事長職を辞している。
1994年 崔太敏氏 他界
慢性腎不全で他界。
崔順実(チェ・スンシル)氏はその後も20年にわたって朴槿恵(パク・クネ)氏と関係を結んでいた。
1997年 朴槿恵(パク・クネ)氏 政界へ
朴大統領は97年末に政界に入門し、翌年、国会議員再・補欠選で当選。
この時、崔順実(チェ・スンシル)氏の夫チョン・ユンフェ氏が朴大統領の側近として登場した。
2006年5月20日 朴槿恵(パク・クネ)氏 カッターナイフ襲撃事件
ソウル市長候補の遊説場でテロにあった。テロ犯の鋭いカッターナイフは朴代表の耳の前の部分から口元まで11センチ、深さ1~3センチ切りつけた。右耳下から顎にかけて傷を負い、60針を縫う3時間もの手術を受けた。
すでに世を去っていた崔太敏氏に代わり、朴氏に付き添った「身内」が、崔氏の五女の崔順実(チェ・スンシル)氏だった。
朴槿恵氏が実妹の朴槿令(パク・クンリョン)氏と疎遠である一方で、崔順実(チェ・スンシル)氏とは実の姉妹のようだった。
朴槿恵(パククネ)大統領 辞任表明 国会は今週中の弾劾訴追へ
朴槿恵(パク・クネ)大統領は11月29日、辞任を表明した。
ただし、この辞任は「国会で安定的に政権移譲できる方法を用意していただければ」といった言わば条件付きであり、弾劾訴追回避のための辞任表明ともいわれる。
(弾劾→辞めさせる手続きのこと。朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾訴追を受ければ「辞めされられた大統領」という汚名がつくため、それを回避したいのではとも報道されている)
大統領の任期短縮には憲法改正、改憲が必要であり、憲法改正に対しては韓国与党野党の中でも賛否両論がある。
野党はなお弾劾の動きを強めている。また、11月30日に行われた2万人のデモで「朴槿恵(パク・クネ)大統領 即刻退陣」の声があがっている。
韓国の歴代大統領の結末
韓国 漢江
韓国の現代史において、優秀の美を飾ることができた大統領はほとんどいなかった。
朴正煕氏は暗殺され、金泳三(キム・ヨンサム)氏、金大中(キム・デジュン)氏、李明博(イ・ミョンバク)氏も親族による不正事件で謝罪することとなった。不正蓄財や収賄容疑により退任後に逮捕された盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は2009年に岩から飛び降りて世を去っている。
朴槿恵大統領の結末はどうなるのだろうか。
愛する隣国の為、世界の為にもっと深く祈ろう。
具体的に何を祈るべきか、それを知るためにこのブログ記事をまとめました。
マタイによる福音書22章37-39節
イエスは言われた、「『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。
これがいちばん大切な、第一のいましめである。
第二もこれと同様である、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。
同じ世界で生きても「知る、知らないによって千層、万層の生」だ。
鄭明析牧師の明け方の御言葉より
参考:
東亜日報
中央日報
ハンギョレ新聞
NHK
産経新聞
HuffPostJapan
CNN
ロイター
日経ビジネスオンライン
BLOGOS
東京新聞
毎日新聞
朝日新聞
朝鮮日報
JBpress
時事通信
日本経済新聞
AFPBB News
TBS