先月9月27日に発生したアゼルバイジャンとアルメニアとの軍事衝突は、ここ数年で最も激しい戦闘に発展しており、これまでに100人以上が死亡、アゼルバイジャンとアルメニアは互いに相手へ大損害を与えたと主張している。
双方が相手国について「実効支配線を越えて砲撃してきた」と非難している。
戦闘地域は拡大しており、アゼルバイジャンとアルメニアの間で全面戦争に発展する恐れがある。
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アゼルバイジャンとはどんな国なのか?
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第二のドバイとも称される国。首都には「SFのような」近代的な建築物が多数ある。一方で首都の一部は世界遺産認定されるほどの歴史ある街。
カピス海の西南に位置。日本の約4分の1の領土、北海道よりやや大きい。国土の半分は山岳地帯。人口は約1000万人。民族は9割がアゼルバイジャン系を占める。
宗教は主にイスラム教シーア派。1918年5月にアゼルバイジャン人民共和国独立宣言をしている。独立後はテロなどが起きていたが、1993年ヘイダル・アリエフ前大統領の政権下で情勢は安定した。現在は前大統領の長男が大統領。
世界最大の油田や天然ガスなどを保有し、天然資源が大変豊富な国。
ドバイのビルを超える世界一高いアゼルバイジャンタワーを建設中。
アゼルバイジャンへの主要援助国、資金協力額でトップは日本。次いでドイツ、韓国、アメリカ、スイス。
2018年には河野外務大臣(当時)が訪問している。(参考:外務省HP、アゼルバイジャンガイド)
アルメニアとはどんな国なのか?
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日本の約13分の1の面積。人口は約290万人。人種はアルメニア系が98%を占める。
宗教は主としてキリスト教(東方諸教会系のアルメニア教会)。アルメニアは国家として,また民族としても,世界で最初に公式にキリスト教を受容した国(301年)。
<アルメニアが世界最初のキリスト教国になった経緯>
ローマ帝国がキリスト教を大規模弾圧したとき、属国のアルメニア王国もそれに従った。 王の一族だったが逃れてキリスト教を学び、祖国で布教していたグレゴリウスは、アララト山の麓の地下牢に13年間監禁された。 国王トルダト3世は病気にかかり、苦しんでいたところ、キリスト教に改宗した国王の妹が「グレゴリウスを解放すれば回復する」と進言。彼を牢から出したところ、病気が治ったので、トルダトはグレゴリウスに従い、キリスト教に改宗。西暦301年のことで、アルメニア王国は、世界で最初のキリスト教国となった。
1991年に独立宣言。ロシアとの関係は緊密。欧米諸国とも関係を深めている。
主要産業は農業,宝石加工(ダイヤ),IT産業。
日本はアルメニアに資金援助をしており、その額は各国の中で第四位。
2018年には河野外務大臣(当時)が訪問している。
(参考:外務省HP、神殿大観、DTACアルメニア観光情報局、mofa)
アゼルバイジャンとアルメニアの歴史
アゼルバイジャンとアルメニアは1988年から94年にかけてこの地域をめぐって対立、戦争状態だった。
アゼルバイジャンの自治州だったナゴルノカラバフでは1990年初頭、ソ連崩壊後にアルメニア系住民がアゼルバイジャンからの分離を求め、一方的に独立を宣言。
以来、両国は同地をめぐって対立。武力衝突や暴力的な事件が断続的に発生し、多数の犠牲者が出ている。
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世界の反応
旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフ地域を巡る戦闘が激化する中、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のフランスとトルコは30日、非難の応酬を繰り広げた。
NATOとは
北大西洋条約機構(NATO)は、世界の主要国際機関の一つで、欧州および北米の29 ヵ国が加盟する政治的・軍事的同盟。加盟国は、安全保障および防衛の分野において、協力し対処。この意味でNATOは、政治的かつ安全保障的協力により二つの大陸を結ぶという、ユニークな連係を提供している。日本は加盟国ではないが、NATOのパートナー国になっている。(参照 NATO HP)
トルコ
トルコの外相は30日、アゼルバイジャンから要請があれば軍事支援を行うかとの質問に「必要なことを行う」と答えた。アゼルバイジャンのアリエフ大統領はトルコの支援に感謝した上で、軍事支援は必要ないと述べた。アルメニア軍が「われわれの土地」を直ちに離れれば戦闘は終わると語った。
トルコの外相はまた、フランスのアルメニアに対する支持はアゼルバイジャンにおけるアルメニアの占領を支持しているのも同然だと主張した。
フランス
トルコの発言に対し、マクロン仏大統領はトルコの「好戦的な」メッセージを非常に懸念していると述べた。トルコはアゼルバイジャンにナゴルノカラバフ奪還を促しており「受け入れることはできない」と語った。
ロシア
ロシアは仲介を申し出ている。ロシア外務省ラブロフ外相は事態を打開するためにアゼルバイジャンとアルメニアの外相による会談を仲介する用意があると表明。ラブロフ氏はアゼルバイジャンとアルメニアの外相と個別に電話会談を行い、両者に戦闘を停止し「挑発するような好戦的発言」をやめるよう求めた。
停戦を仲介するためにロシアは独自に取り組むほか、欧州安保協力機構(OSCE)ミンスクグループの他のメンバーと協力する考えを示した。
ドイツ
独政府筋は欧州連合(EU)が今週の首脳会議でこの問題を協議すると明らかにした。
拡大すれば欧州や米国をを巻き込む地雷原となる
・人口290万人のキリスト教国アルメニア
・990万人のイスラム教国アゼルバイジャン
は、小国ではありながらヨーロッパとアジアを結ぶ重要な位置にあり、ロシア、トルコ、イランといった大国が周囲にある。
この地域紛争には、地政学的、経済的、文化的な要因から、諸外国が深く関係している。今回の軍事衝突は深刻なものであり、この地域の2つの大国トルコとロシアを対立に引き込む可能性がある。
諸外国との関係について更に詳しい記事はこちら
アゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突はなぜ一大事か
平和の歴史を
2000年も20年が過ぎた。第二次世界大戦などが起きていた当時と比べれば、今は平和の時代と言える。
だが今もなお、戦争に苦しんでいる国や地域は存在する。
今回の件はどちらに非があるのかは不明だが、これ以上戦争が拡大しないことを切に祈る。
既に民間人にも死者が出ているという。
戦争は勝っても負けても、どちらにも損害を大きくもたらす。
これ以上の戦争拡大は、両国を滅ぼしていくだけではないだろうか。
戦争をしたら両方とも損だ。敗戦した国は滅び、戦勝国もとてつもない被害を被るようになる。
戦争をしたら、命の損失、経済の損失が大きく、戦争による病気が発生し、伝染病がはやり、それまで建てておいた建物や道路がすべて破壊され、それまで開発したものまですべて破壊されて廃墟になる。小さい砲弾一つ爆発するだけでも、そこは廃墟になる。
原子爆弾とミサイルは一つだけ爆発してもその地域がすべて破壊され、その地域の人たちもみんな死ぬ。原子爆弾が爆発する光を見るだけでも目が見えなくなり、その空気に触れるだけでも肌が腐る。
また、軍人一人が武装したら、民間人、数百人も殺せる。そのような軍人が100万人も出動して戦う。銃弾一発あれば命を奪う。だから戦争が起こったらどれほど悲惨だろうか。
-キリスト教福音宣教会 箴言より
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<記事参考>
外務省
ARP通信
BBC
Reuters
Newsweek
NHK
産経新聞
朝日新聞
読売新聞
時事通信
冒頭画像出典:TimeMagazine