韓国NEWSサイト・PSNEWS 掲載文章の翻訳
2023年7月8日
Netflixのドキュメンタリー「すべては神のために」が社会的に大きな波紋を引き起こしている中、韓国地上波テレビMBCが報道番組の原則を守らなかったために論争が起こっています。「すべては神のために」が本当にドキュメンタリーと見なせるかどうかも問われています。
MBCの報道番組制作規程によると、再現とCGは視聴者が必ず知るべき過去の事実を映像で伝える他の代替手段がない場合に限り、報道・時事番組でも限定的に再現技術を活用できます。
ただし視聴者が誤解しないように、必ず再現映像であることを明示しなければならず、重要な事実を故意に省略したり、誇張して全体的な事実を歪曲することは許されません。
また報道・時事番組では、CGを視覚的な飾りや見せ場ではなく、事実や客観的な情報を視聴者にわかりやすく伝えるために使用します。グラフや図表は、可能な限り実際の数値に比例するように表現し、誇張や歪曲は許されません。
犯罪や事故などを再現する3D、CG映像は、事実関係を誇張・歪曲する、あるいは周辺的な刺激だけを与えるような場面にならないように、慎重に制作しなければなりません。
「多くの性被害者」が登場し、その当時の状況を直接証言したことで社会に大きな衝撃を与えた Netflix「すべては神のために」JMSチョン・ミョンソク編では、代役の俳優を使いつつも「性被害者 本人」と虚偽表示しました。さらに、代役の俳優が訂正を求めたにも関わらず、それを無視し何も行動を起こさなかったため、ドキュメンタリーとしての信頼性に大きな傷を残しました。
MBCは性被害者として登場する人々の中で、誰が代役で誰が実際の被害者なのかを明確にする必要があり、さらなる被害者が出ないように対策を講じなければならないにも関わらず、一貫して沈黙。批判を受けています。
MBCが代役の俳優の表示をせずに放送したのは今回だけではありません。2022年5月に放送されたMBCの「PDノート-論文著者編では、キムさんの論文の盗用疑惑を取り扱う中で、キムさんと外見が似ている代役の俳優を用い、放送で「代役」と明記しなかったために論争となりました。
これに対して、MBCは「報道、時事番組の原則」を違反した事項であることを認め、「該当の番組と関連動画を再視聴可能な全てのサイトから削除し、”再現”と表示した上で再度アップロードする」ように措置したと発表し、謝罪しました。
代役表示義務を違反した2件の同じ事件について、MBCは矛盾した態度を示していると言えます。
性的なシーンをそのまま出すことが、公共の利益となるのか?
もう一つの論争は、選択性的で刺激的な内容をフィルタリングせずにそのまま露出したことが、果たして公共の利益と一致するかどうかという点です。これは公共の利益よりも商業的な目的、つまり視聴者の関心を引く目的が主であるとの批判を避けられない状況です。
Netflixはその目的が商業的であるため、収益に直結する性的なシーンや誇張された描写などを利用することが収益に有利であることは否めません。
しかし、MBCはドキュメンタリーを謳いながら、Netflix「すべては神のために」を「レポート」として制作しました。
性的で刺激的な表現で視聴率を引き上げ、「代役を実際の被害者と誤魔化す」などの過ちを犯しました。MBC放送は、JMSを利用して金儲けをしているとの批判に直面しました。また、「すべては神のために」の映像の大部分は、過去十数年前に放映されたMBCのPDノートから使用した映像を主に編集して使用したものでした。
チョンミョンソクや、JMSキリスト教福音宣教会の人々が犯罪行為を行ったならば、批判に躊躇することはありません。しかし、冤罪であるならば、それも伝えるのが報道の責務です。
MBCは過去の狂牛病騒動のように、偽の事実で国民を「ガスライティング」し、扇動する過ちを犯してはなりません。
MBCは、ネットフリックスの「すべては神のために」という部分の代役俳優の偽の表示を直ちに修正し、俳優にも謝罪することが報道倫理に適合するでしょう。特に、「すべては神のために」がドキュメンタリーであるというなら、放送内容のどの部分からどの部分までが真実で、どの部分が推測であるかを明確に表示し、視聴者が混乱をきたさないようにすべきです。
記事作成 ホ・ジョンウン記者