台湾 総統選の投票率は過去最高の74%。2016年の前回選挙時は66%だった。
史上最多817万票超を得て、民主進歩党の蔡英文総統が圧勝した。
中国に強硬姿勢の蔡英文総統
中国寄りの韓国瑜候補
事実上、この二人の一騎打ちとなっていた。
台湾の選挙には、香港の状況が大きく影響を与えたといわれている。
中国は香港を早く中国化したいために、香港の選挙で「中国の意に反する立候補者」を排除し始めた。それに対して香港国内でデモがまず起こっている。(2014年雨傘運動)
2019年には、逃亡犯条例案が香港内で出された。
「中国との引き渡し条例が決まれば、中国当局に批判的な香港人活動家が 中国に引き渡されるのではないか?そうすれば、香港の自治が守られない可能性がある。」
このことにより、再び香港国内でデモが活発化。
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一国二制度が形骸化し、自治を失いつつある香港、本来の自由を失いつつある香港。
台湾の人々の目には
と、うつった。
中国に対しての危機感が、台湾国内に急速に広がっていたのだ。
その結果、中国に対して強硬姿勢を主張していた蔡氏が圧勝したのだ。
対立候補である、韓氏の得票数は540万票。
蔡氏は817万票獲得。
台湾と日本の人口差5倍を考えると
蔡氏のほうが日本で言えば1385万票上回っているので、これ以上ない圧勝と言える。
蔡氏は当選後に
今回の総統選は、国際的にかつてない注目を集めた。選挙結果は、台湾の人々が民主的な価値を堅持し、国際社会で台湾が公平な扱いを受けるよう求めていることを示した。
と話している。
再び総統としての重責を託されたのは、国民が私にこれまで以上にリーダーシップを発揮し、未来を見据えた政策を実践することで、台湾をさらに邁進させたいからだとおもいます。
そのため、国民の声に謙虚に向き合い、不動の心で困難を乗り越え、そして、同様に台日の絆を深めていきたいです! pic.twitter.com/pks52EVuwj— 蔡英文 Tsai Ing-wen (@iingwen) January 11, 2020
香港 民主活動家 周庭(アグネス・チョウ)さんのツイート
蔡英文さん @iingwen が800万票以上を取り、台湾の総統選挙で勝ちました。得票数は香港のキャリー.ラム行政長官の1万倍以上でした。民主主義と自由を重視している立候補者が当選されてよかったです。台湾がこれからも引き続き民主的な場所でありますように。
— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) January 11, 2020
今回の総統選に際し、台湾の選挙事情を調べた。
そうしたところ、日本とはかなり異なる選挙事情が明白になった。
日本と台湾の選挙の違いを見ると、いかに台湾の人々の声が今回の選挙に反映されているのかがよくわかる。
台湾と日本の選挙制度の大きな違い 選挙の為に世界から100万人が帰国する国
海外在住者は投票できない
日本では海外にいても「在外選挙制度」で、日本の国政選挙に投票ができる。
しかし台湾は出来ない。つまり、台湾に帰国しない限り投票が出来ない。
今回はまだ学期が終わってない留学生も、この選挙のためだけに帰国し、すぐに出国するという事態になっている。
【台湾人 選挙で世界中から帰郷】https://t.co/fztsi72Wvx
台湾の憲法では「国外の中華民国自由地区の人民は帰国しその選挙権を行使する」と定められている。つまり、外国にいる台湾人が投票するためには、海外から帰郷しなければならないという。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) January 11, 2020
期日前投票制度が無い
日本ではおなじみになってきた「期日前投票」。
これも台湾には無い。投票日に行かない限り、投票は出来ない。
本籍地のみで投票が可能
日本では住民票のある場所での投票が可能。台湾では本籍地でのみ投票が可能。多くの人は帰省する必要がある。
選挙の為に民族大移動
つまり、台湾で選挙が行われるということは、台湾民族大移動なわけである。
・海外から多くの人が帰国(今回は100万人。台湾と日本の人口差5倍なので、日本でいえば500万人が帰国したことになる)
・実家に帰省する人多数
この<戻ってくる人々>が、投票率にも大きな影響を及ぼしている。
日本ではまずありえない現象が、台湾では起こっている。
なぜ、台湾の人は選挙の為にそこまで力を入れるのか?時間もお金も投資するのか?
それには台湾の歴史を知る必要がある。
台湾の歴史が選挙に大きく影響を与えている
台湾で、トップの直接選挙が行われたのは1996年から。まだ24年しかたってない。
台湾では1947年2月、闇タバコ売りの女性に対して役人が暴力をふるった事件が起きた。
対して民衆の暴動が発生。当時、権力を握っていた国民党政府は武力で鎮圧した。
「二・二八事件」という。
これ以降、台湾ではなんと約40年間にわたって<戒厳令>が敷かれていた。
・はっきりした理由もなく当局に連行される
・様々な迫害を受ける
このような状況が続いていたのだ。
変わるきっかけになったのが、1978年に中華民国の第6代総統に蒋経国が就任したことによる。1984年に第7代総統にも再選。その後は政治改革を叫び、1987年に戒厳令解除を行った。軍事管制は縮小、行政・司法機関が拡張、一般市民が軍法会議で裁かれるという旧時代は終わりを告げた。
1987年から台湾は言論の自由を得る。やっと民主化の道を走り始めることが出来たのだ。
「政治が日々の暮らしに大きな影響を与えている」
この思いから、台湾では投票率が高いのはよく理解できることだ。
中国側のコメント
選挙が行われた日の夜、中国 国務院(政府)台湾事務弁公室報道官は
「一つの中国の原則を堅持する。台湾を独立させようとするいかなる企みと行動にも反対する」とコメントしている。
中国本土では日本時間の正午すぎにNHKの海外向けテレビ放送「ワールドプレミアム」で台湾総統選挙の投票に関するニュースを伝えた際、与党・民進党の蔡英文総統が1票を投じた場面で映像と音声が中断されました。https://t.co/C3r6z5GW0S#nhk_news #nhk_video pic.twitter.com/P38db2ApN7
— NHKニュース (@nhk_news) January 11, 2020
全ての国々がその行い通りに報いられ、全ての人々が神様の愛に包まれ、神様の御心通りになることを切に願う。
人の心には多くの計画がある、しかしただ主の、み旨だけが堅く立つ。
旧約聖書 箴言19章21節
参考:
読売新聞
産経新聞
日本経済新聞
朝日新聞
時事通信
ロイター
NHK
TBS
JBpress
BBC
Huffingtonpost
外務省
withnews
recordchina
冒頭画像参照:蔡英文総統氏Twitter