こういうことも…私だけが歩んできた道(1)ー鄭明析牧師

韓国の古いバス キリスト教福音宣教会
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鄭明析牧師が歩んだ生涯の記録 わたしが歩んできた道より
作成:1994年

軍隊を終えて、その次の年の9月の土曜日だった。その日は高麗人参の検査を受ける申請をするために、クムサン(高麗人参の組合)に急いで行かなければならなかったので、チンサンでクンサン行きのバスのチケットを買って持っていた時だった。

しばらくしたらバスが来るのに、思い出された人がいた。私のふるさとの教会の牧師をしていた人で、チンサンで洋服の店を開いている人のところにあまりにも行きたくなった。たまらないぐらいに行きたくなって、ちょっと行ってこようと思ってその場所に行った。久しぶりだと言って、喜んで歓迎してくれたのでコーヒーを1杯飲みながらあれこれ話をするようになった。

話をしている間、その人が私に「どうしてきたの」と聞いたので「クムサンの高麗人参組合に高麗人参の検査を受けるために、今申請に行く道だけれど、バスのチケットを買っておいて待っている間、ただ突然思い出したので寄ったのです。私もどうしてきたのかわからない」と答えた。しばらくしてから私は、「こんな時間になったことに気づかなかった」とつぶやきながら、急いで出て走ってきた。

息が苦しくなるほど走ってきてみたら、私が必ず乗るべきバスは既に出発して後ろ姿だけ見え、バスは既に走って行ってしまった。先ほど、どうして私がその家にいたかわからない、と思って後悔した。飲んだコーヒーを吐き出したくなった。3分だけ早く来ても乗れたはずなのに。走ってついていきたかったがあまりにも離れた距離だった。

なぜ私が楽に乗れるバスをおいてその家に行って気をもむはめになっただろうか。その人を異性として好きだったわけでもないのに。本当に理解できない。何かにとりつかれたのに違いない。そうでなくては、そのようにしたはずがない、というふうに心の中でつぶやいた。

そのバスに乗っていかないと、土曜日だったので午前中の申請ができなくなるからだった。その当時は今から20年前だったので、田舎では本当に急ぐ用事でないとタクシーを使うことはなかった。しかし急ぐ用事だったので、お金はなかったが仕方なくタクシーを呼んで乗るしかなかった。

運転手に、高麗人参の組合まで急いで行ってほしいと頼んだ。運転手が言うには、少し前にバスががらがらで出発したのに、どうして乗らなかったのか、と聞かれた。事情を話したら、「ああ、それなら、先ほど出発したバスが走るところまで乗せてあげればいいね」と、優しく接してくれた。タクシーにのってしばらく走っている途中、道路の真ん中に人が立って騒ぎ出し、私が乗っていたタクシーに向かって叫び、呼び止められた。
(続く)

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冒頭画像出典:鄭明析牧師公式サイト

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