その日の夜は帰ってきてから家に戻らず、私の故郷の向こうにあるタリコル祈祷窟に入って、夜通し祈りながら泣いた。霊魂と肉体が神様を信じるようになることを、祈りによって切実に求めるほかなかった。私の心の中に燃える福音を人々に伝えずに、そのまま帰ってきたことが、天の前で、私を救ったイエス様の前で、本当に恥ずかしく、申し訳なくて顔を上げることもできなかった。ひたすらひざまづいて切に願い求め、その人たちのために祈った。目の前に昼間汽車の中で見た人たちが見えてきた。そのため口から火が出るほど叫んだ。
「主イエスを信じなさい。あの滅亡に至る地獄の火に落ちてはいけない。だれがこの世を生きながら、あの永遠の天国の理想世界を見ただろうか。見た者は私と共に口から火が出るほど、ホトトギスのように夜通し叫ぶであろう。人が一生をおいて命をかけて必ず成すべきことがあるとすれば、それは神様を信じて、滅亡に至る地獄の火を免れることだ」と叫んだ。
すると汽車の中にいる人々だけではなく、数え切れないほどおびただしい人の群れが、天地の境が見えないほどいっぱいになって、私の叫びを聞いていた。中には後悔しながら泣きつき、自分たちが神様を信じていないことで苦しめられることを悔い改めながら、胸を叩いたりした。その数は100万を超え、1000万も超える天文学的な数字の、おびただしい群れであった。私もいつの間にか、涙と鼻水にまみれて叫んでいた。
この世はあまりにもみすぼらしい世界、あまりにも罪と悪がはびこっている世界、虚しい世界、偽りで満ちた憎らしい世界、天国にある神様の国とは比較にならない世界、まるで先進国と発展途上国、3万年前の先史時代の人間にも比較にならない世界であった。その日の夜、私は洞窟に入って、その日の昼間意識しすぎた自分の足りなさのせいで伝道できなかったことを悔い改めながら祈った。祈りながら霊界に入り、多くの霊魂たちが暗闇にいるのを見て、祈ることによって伝道をしたのだった。
自信がある時は直接出て行って伝道し、自信のない時は洞窟に入って神様に祈り求めて、私が救われたその恵みに感謝感激した。今思うと、私も繊細に弱々しく育ったことに気付く。私も恥ずかしがり屋だったし、口下手で、また伝道に出かけると、どうやって話したらいいのか分からず大変困っていた。今は個人伝道、家庭伝道、路傍伝道、聴衆伝道のすべてにおいて達人になった。このようになるまでは30年間伝えるもがきと訓練があったのだ。
軍隊を終えて帰ってきてからも、伝道の火は変わりなく燃えていた。ある日は時間の関係で遠くまで行くことができず、山を越えて珍山に行った。小さい村だったので、みんな顔見知りの人たちだった。知り合いだからこそ、むしろもっと話しにくかった。しかし伝道しようと夜通し祈祷窟で祈ったので、必ず伝道してから家に帰ろうと覚悟を決め、あちこち回る途中で珍山の遊園地にある屋台に入った。田舎の屋台とは、つまり飲み屋だ。入るや否や、屋台の若い女の人が「お酒は何にしますか」と尋ねるので、私は慌てた。酒を飲みに入ったわけではなかったのに。
(続く)
伝道、そのやりがいと苦痛(4)ー鄭明析牧師
冒頭画像出典:鄭明析牧師公式サイト
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