[韓国報道]世論に揺れる裁判/デイリーKOREA

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掲載文章の翻訳、意訳

2023年8月13日

[コラム] 世論に揺れる裁判/コリアデイリー キムビョンフン編集局長

現代社会に突入し、世論という力を背に乗せ、フォトラインと放送メディアを前面に出して、有罪を推定する現象で、裁判の公正性が揺れ始めた。

有罪が確定していない被告に対して、すでに世論の裁判で有罪を事実上確定させ、法廷に送り込んで、裁判官を世論で圧迫している。判事も人間であるから、世論の方向を気にすることは避けられないだろう。世論の裁判の弊害は、すでに至る所で現れている。

地上波テレビMBC「PD手帳」は2008年4月29日に「緊急取材 – アメリカ産の牛肉は本当に狂牛病から安全か」という番組を放送してから15年が経った。この番組が初めて放送された後、約100日間、ソウル中心部はアメリカ産の牛肉の輸入に反対するデモで法の無い状態となった。

MBCの時事番組『PD手帳』は2008年4月に放送した『米国産牛肉、果たして狂牛病から安全なのか』編を通じて韓国社会を恐怖と混乱に陥れた。その結果、3カ月が過ぎても「米国産牛肉輸入反対」デモが続き、韓国社会はひどく混乱。

だが、当時『PD手帳』が作った映像や画像は歪曲（わいきょく）・操作疑惑をもたらした。特に重大ファクトとして提示された「人間狂牛病」が疑われる症状で死亡したという20代の米国人女性の母親のインタビュー過程などで歪曲疑惑が持ち上がった。

参照：朝鮮日報オンライン　狂牛病虚偽報道の『PD手帳』プロデューサーら、文政権下でMBC要職に昇進

韓国地裁，MBC報道番組に「訂正報道」判決　韓国の裁判所は，米国産牛肉の危険性に関する報道で，大規模な抗議運動へと発展するきっかけとなったMBCの番組『PD手帳』に対して，訂正報道を命じた。

引用：NHK　文研

ここに政治家と芸能人たちの狂牛病に対する無責任な発言、反政府の左派勢力の扇動、インターネットのあらゆる根拠のない噂が加わり、狂牛病の恐怖が拡散された。

しかし、15年が経った今日、我々の社会で狂牛病の恐怖は皆無であり、狂牛病についての問い合わせもない。当時「狂牛病の怪情報」を作り出して広めた関連サイトはインターネット上でほとんど跡を消しており、アメリカ産の牛肉の消費も増加している。

保健当局によると、国内で人間の狂牛病(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病・vCJD)の疑わしい例が報告されたこともない。しかし、誰もこれに対する責任を取る人はいない。なおかつ、まだ狂牛病の報道を信じている人がいるというのが現状である。これだけ大衆はメディアに影響を受ける。

Netflix「すべては神のために」が我々の社会に大きな衝撃を与えた。キリスト教福音宣教会（JMS）のチョン・ミョンソク会長、オ・デヤン事件、アガ地方のキム・ギスン、マンミン中央教会のイ・ジェロク牧師などについて扱っているが、特にJMSのチョン・ミョンソクに関する話で世論が爆発した。この報道を受けて、イ・ウォンソク検事総長は、JMS会長チョン・ミョンソク（77）に対して、厳格な刑罰が科せられるよう要請した。

これに対して、キリスト教福音宣教会（通称 JMS）側は、「”Netflixすべては神のために”の映像で、事実確認がされていない魔女狩り式の報道によって、チョン・ミョンソク牧師に対する性犯罪のフレームが形成された。」として、「これまで信仰スター出身の脱退者たちの偽情報と、検察のブリーフィングを通じて、信仰スターがチョン・ミョンソク牧師の性的搾取の対象と解釈されてしまった。それは全く異なる。」と主張している。

我が国の憲法第27条4項は「刑事被告人は有罪の判決が確定するまで無罪と推定される」と規定している。これは無罪推定の原則を言い、罪刑法定主義、証拠審理主義とともに刑事法の基盤を形成している。従って、特定されていない過失で被告を追い込もうとすることは、世論の裁判を行いたいというものとしか見なされない。

これに対し、裁判官の追避申請を行ないながら、キリスト教福音宣教会側は、裁判審理中に偏見と先入観の発言があったこと、重要な証拠である告訴人の録音ファイルの原本の非存在に関する証拠能力の検証要求を拒否されたことを追加理由に挙げている。

メディアは公正な報道を心掛け、事実に基づいた報道を行う責任がある。そして、私たち一人一人も冷静に事実を検証し、判断するよう努めなければならない。無闇に情報を信じて、社会の風向きに流されてはならない。

[キムビョンフン編集局長/コリアデイリー]