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2023年8月25日
証拠とされている音声ファイルは故意に編集されたものか?
韓国国立科学捜査研究院は「これまで見たことがないファイル構造」
台湾の有名な音声分析機関は「多数回の編集の痕跡がみられる」との結論
[コリアデイリー キム・ビョンフン編集局長]
録音ファイルの証拠能力を巡って、裁判で激しい争いが続いている
「すべては神のために」の放送5ヵ月後の20日、熱気がみなぎるソウル・スンリュン門のアスファルト道上にキリスト教福音宣教会(JMS)信者3万人以上がプラカードを持って集まった。
昨年7月16日ソウルのボシンガクで開始された集会は、徐々に規模が拡大し、ソウル市庁前に場所を移した。JMS摂理のチョンミョンソク牧師に公正な裁判を求め、これまでの魔女狩り式の報道や放送による物的・精神的被害を訴えるJMS信者たち。
世の中の偏見の中で、彼らはどのように宗教のリーダーへの信念を守っており、なぜ、何が不当であると感じているのか。この「ひどい目に遭った人々、JMS」シリーズは、客観的な事実に基づいてJMS摂理の全体の事態を詳細に調査する。
昨年3月、世界中で衝撃を与えたNetflixオリジナルドキュメンタリー「すべては神のために」JMS編。
この放送でチョンミョンソク牧師に性的被害を受けたと主張するAさんは、実際に前年の3月16日に記者会見を開き、チョンミョンソク牧師を告訴した人物だ。チョンミョンソク牧師は昨年10月4日に継続的な強制わいせつの容疑で逮捕された。
翌年、「すべては神のために」という番組が放送された直後の2ヵ月間でJMS摂理関連の報道が5,500件以上出され、1日の最高で487件(3月10日基準)が報道された。
これまでのJMSに対する前例のない強烈な報道により、チョンミョンソク牧師は、裁判の結果がまだ出ていないにもかかわらず、すでに判決を受けたものと同等の状況に追い込まれた。
Aさんが性的被害の証拠としてJTBCや「すべては神のために」を通じて公開した録音ファイルは、チョンミョンソク牧師の裁判でも提出された。現在の裁判では、この録音ファイルの証拠能力を巡って激しい争いが続いている。録音ファイルの真実性は、事件全体の真相を判明する上で決定的な影響を与えると見られる。
「すべては神のために」と「JTBC」で公開された録音ファイル、証拠汚染の可能性
刑事裁判において、犯罪の事実の認定は、裁判官が合理的な疑いを持つ余地がないほどの確信を持たせる証明力を持つ厳格な証明によらなければならず(刑事訴訟法307条2項)、検察官の証明がそれだけ十分でない場合、たとえ有罪の疑いがあるとしても、被告であるチョンミョンソク牧師の利益を優先するべきである(大法院2012年231号)。
有罪の判断となる証拠は、主に直接証拠や間接証拠、人的証拠、物的証拠、書証や証拠文書、反証などに区別することができる。
特に性犯罪の事件の証拠は、CCTV、犯罪現場の写真、DNAのような物的証拠や、被害者の証言、犯行現場に至った経緯や出入り前後の状況、告訴の経緯や時点などである。多くの事件では物的証拠がないため、主に「告訴人の証言」を中心に捜査と裁判が行われている。
しかし、多くの法律専門家は、「告訴人の証言も記憶に依存しており、一部の内容は歪曲や誇張される可能性がある。それにもかかわらず、告訴人の証言を覆す確かな証拠がない場合、告訴人の証言の信憑性を争うのは非常に困難だ」と説明している。
チョンミョンソク牧師の裁判における告訴人Aさんから得た唯一の証拠は、先にメディアを通じて部分的に公開されていた録音ファイルだけである。しかし、その録音ファイルの検証結果は、「真偽を確認することができない」との分析である。
韓国国立科学捜査研究院「これまで見たことがない音声ファイル構造」
国立科学捜査研究院が当該の録音ファイルを鑑定した結果、
「この事件の録音ファイルは、これまで見たことがないファイル構造である。このファイル構造は、告訴人が使用したiPhoneから収集した比較ファイルとの構造が大きく異なるため、上記の携帯電話と同じ状態および録音方法で取得したファイルと追加で比較確認する必要がある」と述べた。
音声分析の専門家によると、「通常、会話の内容から文を削除する場合、編集の有無を確認するのが難しいため、人の会話を除外し、時計の音や水の音のようなバックグラウンドノイズのみでファイルの連続性を確認する「バックグラウンドノイズ技法」を使用する」とし、「この録音ファイルの場合、国立科学捜査研究院の鑑定結果を見ると、『バックグラウンドミュージックや音響などの連続性を確認する信号がない』との部分があるが、これはバックグラウンドノイズがはっきりと聞こえず、連続性を確認するのが難しいという意味だ」と説明した。
台湾音声分析機関 「音声ファイルは、多数回の編集の痕跡がある」
また、台湾の有名な音声分析機関であるMuScene Voice Forensics Laboratory (https://www.voice-forensics.com/index.html)でも議論となっている録音ファイルを詳細に分析した結果、「複数回のファイル形式の変換作業による現象であるスクラッチマークが多数見られる。このような説明されていない跡の原因は、多数回の編集のためだ」、「Aさんが裁判所で証言したiPhoneのモデルを使用して録音されたオリジナルの会話ではない」、「録音ファイルを見ると、拍手をする行為のように見える高周波信号が含まれているなど、不適切で非専門的な変換操作を経ている」と述べ、韓国の国立科学捜査研究院の意見と同じく、「Aさんはオリジナルのオーディオファイルを再提出すべきだ」との結論を下した。

しかし、告訴人Aさんは重要証拠の原本であるオーディオファイルを録音したスマホは売ってしまったと話している。したがって原本は存在していないのである。これはどういうことなのか。
(続く)

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