[FOCUS]裁判傍聴記:8月22日控訴審 チョンミョンソク牧師裁判

キリスト教福音宣教会 摂理 JMS 鄭明析85 (34)
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韓国NEWSサイト・FOCUS
掲載文章の翻訳、意訳、抜粋


2024年8月22日 裁判傍聴記

控訴審 8月22日公判 傍聴記録

「音声録音ファイルは確実に操作されたもの」専門家が断固として証言

[政経時事リュ・ジェボク記者] 22日午前6時、大田に向かった。この日は大田高等法院でチョン・ミョンソク牧師事件の控訴審6回目の裁判がある日だった。

大田高等法院301号法廷の前に到着した時間は午前9時。裁判は10時から始まるので、1時間後になった。最近も筆者がチョン・ミョンソク牧師の事件を他のメディアと違って集中的に事実をそのまま記事やユーチューブで報道していた。この日、法廷に来た人たちも筆者を見ると挨拶をしてきたので、筆者も「ありがとうございます」と返事をした。10時の定刻に始まる裁判に傍聴人として入室した。

去る7月25日に続き、控訴審第6回公判を担当する裁判長である金判事が、この日も笑顔で301号法廷に入廷、着席した。実に好印象であり、穏やかな表情がいつも好感を持たせる。

裁判長はこの日も、前回の5回目の裁判の過程と進行内容を再認識させながら、弁護側と検察側に「変更点や異議はありますか」と問い、両者は「ありません」と答えた。

被告人席に座ったチョン・ミョンソク牧師は以前と比べ、緊張と焦燥感があるように見えた。その気持ちは十分に理解できた。弁護人は9人で、全員がチョン牧師の左右後方に座っていた。

・抗拒不能の有無をめぐって、弁護人・検察双方、激しい攻防を繰り広げながら論争する

・弁護人”告訴人2人の日記にも『抗拒不能』表現がないのに…検察だけが主張

裁判長はまず抗拒不能の部分について、弁護人と検察、双方に抗拒不能についての意見を述べさせた。これに対して両側は激しい法廷攻防を続けた。

まず、チョン牧師の弁護人側が「告訴人はメディアインタビューを通じて、JMS内ではC氏が最高地位にあり、人々が内心ではチョン氏を無視していると話したことがある」とし、「これは被告人チョン氏が持つ教団内の絶対的な地位で被害者たちが抗拒不能状態だったという検察側の主張とは大きく異なる」と主張した。

これに対し、検察側は「チョン氏は2019年出所後も数千人の前で自分の地位を誇示しながら説教を伝えた」とし、「被害者たちと参考人たちもチョン氏がメシアの地位にあると一貫して供述しており、被害者たちが性的関係を持った具体的な動機、犯行が繰り返された当時作成された記録を見ると、抵抗できない状態だったと推測できる」と反論した。

これに対し弁護人たちは「被害者と呼ばれる二人の女性の日記にも抗拒不能の言葉は出てこない」とし、「検察は万民中央教会、イ・ジェロク事件、救援派事件を引き合いに出し、この事件が同じだと主張するが、彼らの事件とは比較しないで全く違う。 そのため、抗拒不能の理論は合わない」とし、「関連する意見書を提出する」と言うと、裁判長は検察側に「反論することはあるか」と尋ねると「ない」と言い、「この事件は万民教会とユ・ビョンユアン事件と類似した事件である」と繰り返し強調した。

万民中央教会(韓国)の事件とは

1999年に起きたMBC襲撃事件では、万民中央教会の信者たちの一部が批判的な報道をしていたMBC局内に300名が乱入、更にその一部が放送機器を破壊し、局員たちに暴力をふるった。また、教会創設者の牧師が複数の女性信徒に対しての常習的な性暴力の罪で、2018年に懲役16年の刑が確定。イ牧師は自らを「神の息子」と称していたとされる。牧師は病気で既に他界。参照:WowKorea、NNAAsia、中央日報、DailyNK

救援派の事件とは

2014年にセウォル号沈没事件にて、船のオーナーが救援派トップだったことから大きく注目された。1987年には救援派の信徒32人が自殺する「五大洋集団自殺事件」が起こった。同事件は、信徒たちからなる会社の工場で経営者、従業員が、社債の返済をめぐる債権者とのトラブルにより集団自殺を図ったとされる。1991年には教会の献金横領でトップが逮捕、収監された。セウォル号沈没事件は、法定積載量の3倍近い荷物を積載してセウォル号を運航させていたなど危機管理の低さから起きたともされている。

参照:中央日報、AFP通信、KBSWORLD

続いて裁判長は、録音ファイルの真偽をめぐって検察側で申請した証人J氏を呼んだ後にJ氏の身元を確認。陳述に対する拒否権及び関連告知事項を知らせ、宣誓をさせた後、すぐに検察側の証人尋問が始まった。主な内容は、告訴人らが提出した事件に関する「音声録音ファイルが操作されたのか、そうでないのか」というものだった。

この日、証人として出てきたJ氏は音声専門家で、彼は「iPhone固有のファイルの特徴が10種類あるとすれば、証拠として提出された録音ファイルがこれをすべて持っている」とし、「当該録音ファイルがiPhoneの録音だけを経た’純粋な’ファイルの構造と一部異なる部分もあるが、検察意見書に記載された証拠獲得経路を基に実験した結果、あるメッセンジャーアプリを通じて送信すると録音ファイルと同じ構造に変わることを確認した。このような情報を変更することができるが、プログラミングを知らない一般人は事実上不可能で、専門家も非常に時間がかかる作業だ」とし、「このファイルは操作されたものではない」と話した。

続いてチョン牧師側の弁護人たちが反対尋問を行った。彼らは「放送会社が主に使用する特定のプログラムを使用する場合にも、録音ファイルと同じ構造でファイル構造が変わる可能性がある」とし、「操作の可能性がある」という趣旨で反対尋問をした。 するとJ氏は「通話録音ファイルの改ざん分析で最も重要なのは、実際の録音機器を確保した後、フォレンジックを通じたファイル構造の確認であり、当該証拠の原本の同一性と完全性を証明するのは難しい」と強調した。

フォレンジックとは

もともとの意味は「法廷の」や「法医学の」、「法的に有効な」などといった意味で、IT業界ではコンピューターや記録媒体に含まれた法的証拠にかかわるデジタル的な法科学の一分野をデジタルフォレンジックと呼びます。引用:NTTコミュニケーションズ

両陣営の弁論過程を裁判長ははっきりとした目で注意深く見守りながら聞いていた。この日、右審の李(イ)裁判官もJ氏に「原本なしで区別できるのか、できないのか」などと質問し、裁判長も弁護人側に「私も知らない専門用語が出てくるので、分かりやすい技術的な事項について意見を出してほしい」と述べ、午前の裁判を終えた。

・録音ファイル操作の有無の証人尋問… 検察側は’操作なし’、弁護側は’操作あり’

・李(イ)弁護士、図と絵で両側証人尋問 …. 緻密な準備が目立つ

特にこの日、J氏に反対尋問をするイ・ジェスン弁護士は綿密な準備をしてきた。 彼は図表を突きつけながら録音ファイルに関する専門用語を駆使してJ氏を追求すると、時には証人は汗をかく様子も見せた。

午後2時、午前に続き午後の公判が再開された。午後もやはり音声録音ファイルに関連し、検察側証人として女性K氏が出席した。 ところが、裁判長が「証人が検察側証人であるため、公開ではなく非公開の裁判を要請しているので、非公開にする」と述べ、傍聴者に退席を命じた。 この時、筆者としては少し戸惑った。どういう理由で非公開を要請したのだろうか?性的な部分の証言でもなく、録音ファイルに対する証人尋問で非公開を要求した。

非公開裁判で法廷の廊下で2時間待たされた。

午後4時、再び入室して着席すると、音声録音ファイルに対する証人尋問が始まった。先ほど非公開を要請したK氏はそのままで、新しい証人が出席した。ベ・ミョンジン大学音工学研究所教授だった。ペ教授は「声」で未解決の事件を解決するなど、「音の専門家」と呼ばれる人物だ。

2007年、全国を騒がせた殺人事件の真犯人を捕まえるのに決定的な役割を果たしたのもペ教授の声の分析だった。ペ教授は119番通報記録に残っていた犯人の1.2秒の声を分析することに成功した専門家で、大衆メディアに頻繁に出演している音声録音分析の大家だ。ユン大統領が外国を訪問し、発言したことが物議を醸したとき、ペ教授は「様々な方法で聴取したが、判定不可」と明らかにしたこともある。特に2009年1月、歌手イ・ヒョリはSBSで俗語を使用したという疑惑を受けたが、ペ教授は「分析の結果、<Xナ>ではなく<もっと>と発音した」と明らかにし、論争は沈静化した。

ペ教授は断固として答えた。「この録音ファイルは明らかに操作されたものと把握している。私は10年以上この分野で研究してきた音分析の専門家だ」と、当該ファイルに対する編集操作についての説明を強調し続けた。

続いて検察側の反対尋問が続いた。これに対し、ペ教授は自分が提出した図表や絵をスクリーンに映しながら説明したが、まさに専門家らしく堂々と説明する姿だった。

このようなペ教授を見た裁判長が「わかった。では、操作されたその理由は何か? また、その根拠を示してほしい」と言うと、これに対してもペ教授は堂々と答えた。この証人をめぐって5回目の公判では検察側が証人喚問を拒否したが、裁判長が出席させたのである。

・証人ペ教授 「ファイルの中の男女の声は合成操作されたもの」強調

・裁判長「来る27日の第7回公判で結審する」宣言、しかし変更の可能性あり

ペ教授の証人尋問に対する態度は、誠実で飾り気がなく熱意がすごかった。彼は「録音ファイルには背景音量が非常に重要だが、このファイルにはこの点が不明確で、男女の声は付けたもの、つまり合成だ」とし、「私は6人の博士課程のスタッフを抱えているが、全員が工学者で声の解釈だけを扱う専門家だ。あとは裁判官が判断すればいい」と強調した。

しかし検察側証人として出てきたK氏は、裁判長の関連質問に対して「よくわからない」と答えるだけで、ずっと途中で反対の話しかしなかった。この時、時間が午後7時10分。裁判長が「証人尋問をすべて終わらせる」と言うと、イ・ジェスン(李在淳)弁護士が「反抗できない部分について被告人に対する証言をしてくれる男女2人がいるので、彼らも証人として呼んでほしい」と言うと、裁判長は「時間がない、どんどん長くなってはいけない。もう次の期日には決着をつけなければならない。その部分については意見書で出してほしい。実際、1審判決文を見ると、この部分が非常に不十分だった。検討をして、必要であれば再度期日を決めることができる。今日の裁判はこれで終了し、8月27日午前10時に再開する。」と宣言した。やはり裁判長は模範的な裁判官だった。

一方、脱退信徒であり、反JmsだったA氏が8月16日’MBCチョ・ソンヒョンPDの要請に対する’回答書提出’というタイトルで提出された書類関連弁護人は「当該書類によると、実はこの事件が2021年8-9月から反Jmsで基本的にすべて企画をしたという内容と共謀したという内容が含まれているが、このような部分について具体的に問いたい」と「当該資料を提出した脱退者A氏を証人尋問したい」と主張し、検察側でも当該証拠について「不同意する意思がない」と明らかにした。今後、関連する告訴人たちの告訴の背景がさらに明らかになるか注目される。

リュ・ジェボク筆者略歴

韓国プレスセンター韓国語文記者協会事務局長 ▲中国吉林新聞ソウル支局長(外国人記者) ▲外交部・統一部・青瓦台出入記者 ▲中国人民日報海外版(韓国版)特別取材局長 ▲総合日刊紙「日刊トゥデイ」中国専門大記者 ▲ソウルニュース通信中国専門大記者 ▲アジアタイムズ大記者 ▲コリアデイリー大記者(国会出入記者)などを歴任 ▲(現)政経時事フォーカスTV代表

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