[BreakNews]裁判傍聴記：第3回控訴審　チョンミョンソク牧師

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掲載文章の翻訳、意訳、抜粋

2024年7月19日　BreakNews記者の裁判廷取材記「完全公開」

控訴審第3回　5月30日公判　傍聴記録

筆者は去る5月30日午前6時、キリスト教福音宣教会(JMS)チョン・ミョンソク牧師の信者に対する性的暴行疑惑の控訴審第3回公判に出席するためにソウルを出発した。大田地方裁判所に到着したのは8時過ぎだった。

チョン・ミョンソク牧師の控訴審裁判が開かれる大田地方裁判所高等裁判所230号法廷への通路には、すでに50人余りが並んで入場を待っていた。230号法廷の出席者は弁護士を含め37人だった。

（＊チョンミョンソク牧師裁判とは別件の裁判が、チョンミョンソク牧師の前に行われていた）

続いて10時になると、大田高等法院第3刑事部の裁判が始まった。まず、被告の韓某女性に対する国家保安法違反などに関する判決宣告があった。1審裁判で刑量が低かったため、検察が控訴した事件だったが、裁判部はこれを却下し、韓某被告は不拘束裁判で執行猶予判決を受けた後、悠々と法廷を後にした。

すぐに「準強姦等」の容疑で被告となったチョン・ミョンソク牧師の裁判が4月16日に続いて行われた。裁判長が事件番号を呼び出すと、チョン・ミョンソク被告が入場した。刑務官は5人だった。鄭牧師の上半身右側には「受刑番号2392」が見えた。筆者としては初めて見る彼の姿だったが、比較的元気な姿だった。

裁判長は、4月16日の裁判の続行を告げ、検察官の公判調書に関する質問を2人の検察官と弁護団に質問し、回答を得た。そして、調書に対する証拠をめぐって「同意」と「不同意」を弁護団に尋ねた。

この日、チョン牧師側からは5人の弁護人が出席した。その後、録音ファイルに対する争点が始まり、検察と弁護団間の口頭弁論があった。検察は「弁護団が誓約書を書いても、一部の信徒が録音ファイルを聞かせたりしている」とし、「流出した状況がある」と主張。 「録音ファイルコピー許可決定を取り消し、回収するよう検討してほしい」と裁判所に要請した。

検察はまた、「教義の内容が正しいかなどは録音記録を通しても確認可能で、内密な情報が入った録音ファイルを他の人と一緒に聞く必要はない」とし、「流出がないように自制してほしい」と強調した。

これに対し弁護団は「証拠能力を弾劾するための検証手続きとしてJMS関係者と一緒に当該録音を聞いただけで、流出ではない」と反論した。弁護団はまた、検察の流出主張に「一方的な主張」としながらも、教団内のある牧師と一緒に録音ファイルを聞いた事実は認めた。

ただ、「録音記録の声がチョン・ミョンソク牧師なのかどうかについて、声の独特な特徴と方言、言及する教理に関する部分は、JMSの牧師などの話を聞いてみなければ特定が不可能だ」とした。「協力の次元で一緒に聞いただけで、コピーして渡したわけではなく、良心を賭けて流出はなかった」と説明した。特に、弁護団は「教団に悪意を持った人々が、マスメディアを通した世論操作に利用した」と敵意を露わにした。

これに先立ち4月16日、控訴審裁判部は、検察と被害者側が音声流出の懸念にもかかわらず、「録音ファイル等のコピーを許可しても、被害者や証人など事件関係者に害を及ぼす恐れがあるとは考えにくい」として録音ファイルを許可している。

この日、JMSチョン・ミョンソク牧師の弁護団は、二つの民間鑑定機関の鑑定結果書を提出し、音声録音ファイルが捏造されたという疑惑を提起した。弁護団は、音声ファイルに第3者の会話が含まれており、他の場所で録音された音を編集した情況があると主張した。

また、弁護団は「告訴人が提出した録音記録が意図的に編集された」と主張し、告訴人の音声録音ファイルと、被告側の録音ファイルを比較した対照表を証拠として提出した。

また、告訴人が「ジェネシス車両内で性的嫌がらせを受けた」と主張した事件について、「当該車両は座れない構造であることを確認した」と明らかにした。

この日、検察と弁護団は録音ファイルの検証についても意見を対立をさせた。弁護団は「裁判所が定めた公的鑑定と民間専門家の鑑定が並行しなければ、偽造を覆すことができない」と主張した。

しかし検察側は「被告側は、鑑定人を買収したり捏造する可能性がある」とし、これを受け入れるのは難しいと反論した。

これに対し、裁判部はこの録音ファイルについて証拠を調査し、謄写を決定し、鑑定手続きを経ることにしたと説明した。

続いて検察側はチョン牧師とすでに拘束されたチョン・ジョウン牧師が登場する映像を見せながら、「教主(被告人)が信徒に話(説教)をすることで抵抗できない状態にさせ、それで強制わいせつが行われたもの」と説明すると、弁護団は「教理を説明しただけなのに、間違った回答で誤魔化してる」と抗弁をした。

これに対し、裁判部は「精査する」と述べ、録音ファイルに対する鑑定手続きについて両者の意見を聞いた。

これに対し検察側は「検察が指定する鑑定機関がある」とすると、弁護団は「検察が指定する鑑定機関での鑑定は必要ない」とし、4つの民間鑑定機関を申請した。

この日、弁護団は特に「被告人の声だと被害者が主張する録音ファイルは、同じ場所と同じ時間ではなく、別の場所と別の時間帯で合成したことは明白だ」とし、裁判所側が指定する民間鑑定機関から鑑定を受けることを希望した。

裁判部は韓国の録音分析研究所機関を指定し、鑑定を依頼することにした。ポイントは、録音ファイルの中の男性の声が本当に被告であるJMSチョン・ミョンソク牧師の声なのか？そうでないかを見極めようということだ。

チョンミョンソク牧師側の弁護士は「1審ではこのような手続きが無視され、また弁護団の意見もすべて無視された。 そのため、到底理解できない懲役23年が宣告された。」と筆者に語った。

続いて、検察側は二つの映像を証拠として公開した。一つは被害者という女性「原告A」が教団について話すもので、もう一つは中国語で説明をする女性「原告B」が出てくるが、筆者が大まかに聞いても「JMSチョンミョンソク牧師を尊敬し、月明洞が好きで、教団の教義が良い」という内容だった。

これに対して裁判長が「その映像の意図は何だと思うか」と検察官に尋ねると、参加した女性検事は「このような映像が抵抗不能に誘惑して被告が性的虐待をしたものだ」と答えたのだが、筆者は理解できなかった。

法廷の傍聴者もやや困惑していた。これに対し、裁判部は「抗拒不能に対する最高裁の解釈を念頭に置いて弁論を準備すること」を呼びかけ、「裁判部は心理的に著しく反抗できない状態にあるのかどうかに重点を置いている」と説明した。

午後2時、午前に引き続き裁判が続行された。午後の裁判は主に犯罪証拠として採用された映像が公開された。内容を見ると、すでに贖罪されたJMS教団の女性聖職者(牧師)が説教する映像が多かった。

そして、これまでの教会の成長に対する歴史の内容だった。 つまり、JMS教団の女性聖職者(牧師)自身が教団と関連した教義と講義をする内容だった。むしろ、チョン・ミョンソク牧師が実際に講義をする映像なら話はまだ分かるが、チョン・ミョンソク牧師が話すのではなく、JMS教団の女性聖職者(牧師)が話す説教と教理の内容がどのようにチョン・ミョンソク牧師に対する有罪証拠として採用されるのか？

本当に分からない検察側の論理だった。 これが有罪証拠となり、1審裁判部が鄭牧師に懲役23年を宣告したのであれば、それはまさに大きな誤審であった。

裁判長もこれに対して「JMS教団の女性聖職者(牧師)の説教を一般的に解釈し、抗拒不能になるのか」という質問に検察・弁護団双方が攻防を繰り広げた。

検察は午後6時までずっと続いた映像公開をしながら、「このような映像が被告人であるチョン・ミョンソク牧師の神格化で被害者たちを抗拒不能にした」と理屈に合わない主張を展開すると、弁護団は「性的虐待の有無を問う理由ではなく、公訴事実とは異なる内容、つまり推測の論理だけを主張している」と攻撃した。

特にこの日、検察側は被害者たちが性的虐待を受けたという現場を映像で長時間公開すると、弁護団も反論する映像を制作して公開した。これに対し、裁判長は「弁論に近い内容だ」と述べた。

また検察が「参考人陳述書」の証拠を言い続けると、裁判長は「参考人陳述書の証拠能力も慎重に検討すべきで、無条件に証拠能力として採用するのは間違っている」と検察側の主張に反論した。

裁判に参加した女性検事が弁護団に叱責の抗議を続けると、裁判長は「今、検察が捜査をしているのか」と叱責した。

検察は午後中ずっと映像を公開し続けた。その中の一つの石を見せながら、「まさにこの石が性器の形で抵抗不能にさせた」とし、教会でよく使われる用語である「十字架の苦しみ、携挙、救世主メシア、絶対主メシア、イエス様の用事、再臨イエス」などを挙げながら、「このようなすべてのものが被害者を抵抗不能にさせる被告人の犯罪だった」と主張した。

この過程で、裁判部3人の裁判官も映像を注意深く見守った。これに対し、弁護団が「被告人は決して再臨イエスではなく、またそのような発言をしたこともないのに、検察は直接証拠にならない内容を証拠としている」と抗弁した。これに対し、裁判長も「そう感じている」と述べた。

このような検察と弁護団の攻防を見ながら、筆者はこの日、検察の無能と無知を見た。本当に1審裁判部がチョン・ミョンソク牧師に下した懲役23年の判決は問題があることを実感した。

控訴審の2審裁判部は、裁判過程が非常に合理的で、被告人側に有利な雰囲気を感じたので、良い結果が出ることを期待するようになった。

チョン・ミョンソク牧師は2018年2月から2021年9月まで、月明洞修練院などで23回にわたり、香港国籍の女性信徒「メープル」を性的暴行をしたり、オーストラリア国籍の女性信徒「エイミー」と20代の韓国人女性信徒を性的暴行した容疑で現在拘束起訴され、控訴審裁判中である。